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校長日誌

【校長ブログ】先生方への感謝を込めて~川口高校で離任式~

 4月18日、県立川口高校では今年度の人事異動に伴う離任式が行われ、長年にわたり多くの生徒から親しまれてきた3人の先生方が最後の挨拶を行いました。式には2・3年生生徒と教職員が参加し、体育館に温かい拍手が響きました。

 

 ご勇退された斎藤幸栄子教諭は、これまでの教員生活を振り返りながら、「生徒の成長を見届けることが何よりの喜びでした。皆さんの笑顔に、日々元気をもらっていました」と語りました。授業や行事での思い出を紹介すると、生徒たちは真剣なまなざしで耳を傾け、別れを惜しむ表情を見せました。美術部の生徒は、「厳しくも温かく接してくれる先生でした。寂しいけれど、感謝の気持ちでいっぱいです」と話していました。斎藤教諭は今後も油絵の創作活動を続ける予定とのことです。

 大宮工業高校に転勤された安倍孝司教諭は、人生を24時間に例えて「高校生の皆さんの人生はこれからできることがたくさんある。自分も毎日が刺激的だ」とエールを送っていました。川口東高校に転勤された横山哲也教諭は。川口高校と川口東高校の立地環境を比較しながら「高台には高台の良さ、平地には平地の良さがあり、それぞれの良さに気付くことが大切」と激励されました。

 転退職された19名の先生方のご活躍を祈念しています。

【校長ブログ】幸せの感じ方~春爛漫の川口高校~

 4月16日、早朝、校舎内を巡回していたら、久しぶりに富士山が良く見えました。真冬の富士山とは違う陽春の富士山。朝から清々しい気持ちになりました。

 1年生も高校生活になれてきたようです。幸せの概念は多様ですが、ポジティブ心理学の第一人者であるマーティン・セリグマンの唱える「幸せの種類」について紹介します。セリグマンが唱えたウェルビーイングの多面的モデルを解釈すると、幸せには5つの種類があるということになります。「達成」「快楽」「没頭」「良好な人間関係」「意味合い」の5つです。

 「達成」は何かを成し遂げたときに感じる幸せ。自信に繋がりやすい幸福感です。

 「快楽」は美味しいものを食べた時などに感じられる幸せ。幸せホルモンと称されるドーパミンが放出されるタイプの幸福感です。

 「没頭」は時間を忘れて夢中になっている時に感じる幸せのことです。

 「良好な人間関係」は、例えば、自分の好きな人と楽しく幸せに暮らすことや、気の合う仲間と時間を共有する幸せのことです。もしかしたら、コロナ禍で最も多く失われた幸せはこれかもしれません。

 「意味合い」は、自分が誰かに貢献していると感じることができている幸せのことです。自分の存在に意味を見いだせている状態といえます。これはモチベーションの源泉にもなり、毎日を快活で明るく過ごすために欠かせない幸せです。

 県立川口高校の皆さんには、たくさんの「幸せ」を高校時代に体感してもらいたいと思っています。

【校長ブログ】1年生のワクワク感が伝わります~対面式・部活動紹介~

 4月9日、春爛漫を感じる穏やかな日差しの中、県立川口高校のある諏訪山では桜が満開です。

 川口高校ではアリーナ(川口高校体育館は重層で「アリーナ」と呼んでいます)で対面式を行いました。1年生318名を、2年生315名、3年生306名が迎えました。2・3年生はクラスごとにショートコントや一発芸を披露して、笑いのあふれる対面式でした。午後からは、14の文化部、16の運動部がそれぞれ趣向をこらして部活動紹介を行いました。最後の書道部の書道パフォーマンスは圧巻でした。

【校長ブログ】「高く、正し」新たに318名の新入生~令和7年度入学式~

 4月8日午後、県立川口高校では第80回入学式を挙行しました。318名の新入生が、“チーム川高”に加わりました。壇上からは新入生一人ひとりの顔がよく見えます。一人ひとりの呼名の返事に、高校生活への決意と希望を感じました。式後の校歌披露では、2・3年生の運動部に所属する生徒有志約200名が各部のユニフォーム姿で登場し、川口高校校歌を声高らかに斉唱し、新入生を祝しました。

 入学式の校長式辞を紹介します。

 今日の晴れの日を待ち望んでいたかのように。ここ諏訪山の桜の樹々が、満開の花びらを揺らしております。この春の佳き日に、御来賓の皆様方の御臨席、多くの保護者の皆様の御列席を賜り、令和7年度 埼玉県立川口高等学校 第80回入学式を挙行できますことは、本校にとりまして大きな喜びでございます。ただ今、入学を許可いたしました318名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。教職員、在校生一同、皆さんを心から歓迎いたします。

 本校は、昭和16(1941)年に旧制川口市立川口中学校として開校し、今年で85年目を迎える伝統ある学校です。校訓「高く正し」のもと、生徒は高い目標を持ち、その実現に向かって正々堂々とひたむきに努力する校風を伝統としています。地域の大きな期待を担いながら、二万五千名の卒業生を世に送り出し、社会の様々な分野に、多くの有為な人材を輩出してまいりました。

 本校での第一歩を踏み出した新入生の皆さんに、「ビュリダンのロバ」について紹介します。「ビュリダンのロバ」とは、フランス中世の哲学者であるジャン・ビュリダンが作った話とされています。

 「ロバは、左の道の先と右の道の先に干し草を見つけた。ほぼ同じ距離、ほぼ同じ量の干し草が置かれている。どちらの干し草も美味しそうだ。どちらの干し草を食べるのがいいだろうか?ロバは迷った。左に二、三歩行くと、右のほうが良さそうに思えてくる。右に二、三歩行くと、左のほうが良さそうに思えてくる。そんなことを続けているうちに、ロバはとうとう餓死してしまった。」

 右の干し草を食べるか左の干し草を食べるか、これはどちらでもいいことです。さっさとどちらでも食べて空腹を満たしたらよいでしょう。しかし、人間には二つの刺激に挟まれて身動きが取れなくなるという場面があります。この話は、何かを選択することの難しさと同時に、何も選択できずにその場で立ち尽くしてしまう危険性を教えてくれています。

 私たちはコロナ禍をとおして、世の中には「正解」のない課題がたくさんあることに改めて気づきました。「正解」は一つではないでしょう。皆さんの今までの勉強の多くは、一つの答えのある問題を解くことでした。21世紀を生き抜く皆さんは、この「解」のない課題に立ち向かう力を身に付けることが大切です。

  新入生の皆さん。高校入学にあたって、最初に意識してもらいことを三点お話しします。

 一つ目は「一歩前へ」。これまでの小学校、中学校時代に思いどおりにならないこともあったと思います。今から、新しいスタートです。過去は変えられない。でも、未来は変えられる。皆さんには、過去よりも未来にエネルギーを使ってもらいたい。必ず楽しい時が増えていきます。

 二つ目は「失敗を恐れない」。川口高校は、自分がチャレンジしたことに対して、安心して何度でも失敗の経験が積める場所でありたいと思います。失敗から学び、失敗を糧にして成長できる場でなければならないと思います。失敗したり間違えたりすることが恥ずかしいのではありません。失敗したり間違えたりする人を馬鹿にしたり、笑ったりすることが恥ずかしいのです。

 三つ目は「お互いを認め合う」。全ての人が気持ちよく高校生活を送れるように、という願いを込めて、私自身が人に対する接し方として心掛けていることをお話しします。それは、「人を人と比べない」、そして「人を悪く言わない」ということです。お互いを人として尊重し合い、傷つけたりしない。皆さんが気持ちよく高校生活を送れるようにしましょう。

 比べるとすれば、その相手は過去の自分でしょう。目標は、昨日の自分を超えること。去年の自分を超えること。皆さんが入学した「今」と比べて、これからどれだけ大きく成長し、変わっていかれるか。私もとても楽しみにしています。

 御参列の保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。教育は、学校、家庭、地域が一体となってお子様一人一人を育むことが大切でございます。私達教職員は、お子様が、自らの生きる道を、自らが切り開いていけるよう、全力を尽くして参ります。お子様の健全な成長を望み、豊かな個性を育てていくためには、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を果たしながらも、連携を密にしていくことが重要でござます。そのためにも、是非とも本校の教育方針を御理解いただき、御支援御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 結びに、本日御臨席を賜りました皆様に改めて御礼申し上げますとともに、新入生の皆さんの高校生活が充実したものとなることを祈念いたしまして、式辞といたします。

【校長ブログ】君は卵を立てることができるか?~令和7年度第1学期始業式~

 4月8日、県立川口高校では令和7年度のスタートです。桜も満開です。早朝に校内を巡視していると、早くから登校している生徒も多くおり、新年度の活気を感じました。

 午前中、新入生を迎える新3・2年生だけで令和7年度着任式、始業式を行いました。川口高校では、19名の先生・行政職員の方々が転退職され、新たに13名の先生・行政職員の方々が”チーム川高”に加わりました。第1学期は新年度のスタートです。

 私は、校長として生徒諸君に最初にどのようなメッセージを伝えるか、毎年悩んでいます。今回は、昨年度の修了式のテーマを踏まえ、一歩前へ歩みだす気概について伝えようと考えました。今年度の川高生の活躍に大いに期待しています。始業式の校長講話を紹介します。

 

 皆さん、おはようございます。
 3月24日の修了式で、「春休みに、高校時代に全力で挑むことができる「野心」を見つけてください」と話しましたが、「野心」は見つかりましたか。皆さんの努力という車の後輪が機能するために、前輪の「野心」をしっかりと見つけてください。
 皆さんは、卵を立てることができますか?
 この楕円形の卵は立つのでしょうか?
 私は、立てることができます。たぶんここにいる先生方の中でも、卵を立てたことのある先生はいないと思います。
 「コロンブスの卵」という話があります。アメリカ大陸に到達したクリストファー・コロンブス(1451- 1506)の功績を祝う晩餐会で、ある男が「西へ西へと航海して陸地に出会っただけではないか」というねたみに対して、コロンブスは卵を取り上げ、「この卵を卓の上に立ててごらんなさい」と言いました。誰にもできなかったところ、卵の尻をつぶして立ててみせたという逸話から、「誰でもできる事でも最初に実行するのは難しい」という例えです。日本でも、1921年から1940年まで「尋常小学国語読本」に取り上げられていました。ただし、これは実話ではなく、16世紀頃に作られた話らしいです。
 ここでお話したいポイントは「情報」の大事さです。卵は立たないという先入観があれば、卵を立てようとはしません。しかし、「卵は立つ」という情報があれば、実際に試してみて卵を立てることは、難しいことではありません。
 卵が立つことを信じている又は卵が立つことを知っている子は成功させるのが早い。半信半疑な子はすぐに諦めちゃいますね。他の子が卵を立たせるのに成功したのを見て「ほんとにできるんだ」と分かってからようやく成功させます。
 私にとって、「コロンブスの卵」の逸話が面白いと感じたのは、その逸話によって、「卵は立たない」という先入観が与えられるという事です。その結果、卵を立てるという現象で人を驚かせる事も可能になります。
 このことは、皆さんの学習や部活動などにもあてはまります。「この勉強でも部活動でも、頑張って続けていたら必ず上手くいくんだ」と信じて取り組んでいる人は、受験でも何でも成功しやすい。
 この感覚がわかれば、今よりももっと高校生活が充実すると思います。
 まずは、卵を1個立ててみましょうか。

 川高生の皆さん
 元気に挨拶してますか。 挨拶は自分を伸ばしてくれます。
 他人に優しくしてますか。 他人への優しさは自分を見抜く力を与えれくれます。
 夢を諦めていませんか。 夢は今を楽しみ前進する原動力です。
 志高く。 

【校長ブログ】チーム川高

 3月28日、県立川口高校では、今週の暖かさの中で校内の桜も咲き始めています。グラウンドでは野球部、アリーナでは、女子バスケット部、女子バドミントン部、卓球部、柔道部、剣道部、音楽室では吹奏楽部が元気に活動していましした。

 川口高校では、松本恭介校長先生(第22代:平成28・29年度在籍)の時代から「チーム川高」を前面に打ち出しています。チーム川高とは、「教職員、生徒、保護者をチームとして捉え、一体となって生徒の可能性を追求し、全力で生徒の自己実現をサポートしていく集団である」と定義しています。

 人間が集団で行動する際、「グループ」や「チーム」、「組」、「班」、「団」などいろいろな呼び方があります。「グループ」と「チーム」には違いがあるそうです。

①「グループ」は強いリーダーに率いられる。「チーム」は状況に応じてリーダーシップを分かち合う。

②「グループ」はただ黙々としている。「チーム」は楽しみ、笑いが絶えない。

③「グループ」は必要だから集まる。「チーム」は仲間との集いを待ち遠しく思う。

など、「グループ」と「チーム」には違いがあるそうです。

 3月24日、誠に残念ながら、かけがえのない「チーム」の一員である県立川口高校に15年間ご勤務された先生がご逝去されました。心からお悔やみ申し上げます。幽明境を異にすることとなり、痛恨の極みです。先生の思いも受け継ぎ、よりよい「チーム川高」になるように全力で取り組んでまいります。

【校長ブログ】「野心」のすすめ~令和6年度修了式~

 3月24日、県立川口高校では、令和6年度修了式を行いました。

明日から学年末休業に入りますが、生徒諸君は奮闘努力してくれたと思っています。

修了式の校長講話を紹介します。

 

 

今日は、「野心」についてお話しします。

皆さんは、「野心」と聞くと、どのように思いますか。『広辞苑』では「野心」とは、「人に馴れ服さないで、ともすれば害しようとする心」、「身分不相応の大きな望み。野望」、「大きな飛躍を望んで、新しいことに大胆に取り組もうとする気持ち」とあります。

日本大学理事長で作家の 林 真理子 さんが12年目前に『野心のすすめ』(講談社新書 2013年)という本を書きました。右肩下がりの時代になって、格差社会が広がって、日本の若者は野心を持たなくなりました。それでは日本がダメになる、努力した人だけが見える世界もあると伝えたかったそうです。2年に出版された『成熟スイッチ』(講談社新書 2022年)と一緒に再読して改めてなるほどと思いました。

『野心のすすめ』では、「世間で『野心』といえば、腹黒かったり身の程知らずであつかましいイメージが先行しています。『野心家』となると、もうほとんど悪人扱いです。」と書いてありました。車は前輪と後輪が機能して前に進みます。林 真理子 さんは、「『今のままではだめだ。もっと成功したい』という『野心』は、自分が成長していくための原動力になりますが、一方で、その『野心』に見合った努力が必要になります。野心が車の前輪だとすれば、努力は後輪です。野心と努力、両方のバランスがうまく取れて進んでいる時こそ、健全な『野心』といえるのです」と言っています。

川口高校の皆さんは、とてもやさしく謙虚です。米国IT大手アップルの創業者であるステーィブ・ジョブズ氏は、「感謝の心が人を育て、感謝の心が自分を磨く」と言っています。やさしく謙虚なことは素晴らしいことで、この先の人生でもずっと大切にしてほしいと願っています。

しかし、同時にもっと自分に自信をもってもいい。もっと高みをめざす「野心」を抱いてもいい。もっと尖がってもいいと私は思っています。なぜなら、皆さんのこれから歩む「道」が社会に希望をもたらし、やがて多くの人が歩く「道」となる。皆さんには才能と無限の可能性があるからです。

 

「今のままじゃだめだ。もっと成長したい。もっと成功したい」。皆さんは そんな野心を持っていますか?その野心は社会に貢献できるものですか?若者の特権は、「何でもできる」ではなく、「何でもできると思える」ところにあります。「野心」は大きくても小さくてもかまいません。

「高校時代に英検2級に合格したい」

今日、校歌を演奏してくれる吹奏楽部の生徒が「全国大会に出場したい」

野球部の生徒が「絶対に甲子園に出場したい」

ラグビー部の生徒が「花園に行きたい」

大学受験を目指す生徒が「日本大学に合格したい」「絶対に、早稲田大学に進学したい」

是非この春休みに、高校時代に全力で挑むことができる「野心」を見つけてください。そして、その「野心」を自分の人生を豊かにするだけではなく、世の中を豊かにすることにつなげてください。

皆さんは、4月から新しい学年に進級します。新入生も入学し、新たな出会いが待っています。世界は、正解のない課題に満ちています。皆さんが、混迷する世界に希望の灯をともし、多くの人が歩く「道」をつくる次世代のリーダーになってください。川高生にはそれができると私は信じています。

川高生の皆さん

元気に挨拶していますか。

他人に優しくしていますか。

夢を諦めていませんか。

志 高く。

元気に4月8日の始業式で会いましょう。

【校長ブログ】厳しさを乗り越えると春が来ます~2学年進路説明会を開催~

3月19日、思いもかけない雪で県立川口高校は雪景色になりました。

 

 2学年は教室やアリーナを会場に進路説明会を行いました。岩手大学、埼玉県立大学、日本大学、東京電機大学など46の大学、川口市立看護専門学校、日本工学院専門学校、埼玉県理容美容専門学校をはじめ43の専門学校の先生方にご来校いただき、生徒への学校説明を行っていただきました。50分の説明を2学校聞くことができました。自分の興味関心に合わせて、真剣に聞いていました。

 ご来校いただいた大学・専門学校の先生方に、改めて感謝申し上げます。

 

 

 進路指導部の先生は「3学年0学期としてしっかりと取り組んでもらいたい」と激励していました。

 午後になると一転して青空も見えました。人生も、厳しさを乗り越えると春が必ず来ます。進路実現に向けて、がんばれ川高生!

【校長ブログ】期待に胸を弾ませて~県立川口高校 入学許可候補者説明会~

 3月18日、中庭の木蓮が満開です。県立川口高校は、入学許可候補者説明会が行われました。入学者選抜試験には合格したので“新入生”になりますが、まだ入学前なので高校では“入学許可候補者”と呼んでいます。

 校門では在校生が元気に部活動勧誘を行っていました。入学許可候補者・保護者は、アリーナ(体育館)で各担当から説明がありました。入学許可候補者の皆さんの期待に満ち溢れた表情が印象的でした。一人ひとりの知・徳・体が伸張するように、学校としてしっかりとサポートしてまいります。

【校長ブログ】必ず道は開ける~県立川口高校卒業式 卒業生式辞~

 3月13日の県立川口卒業式では、在校生代表の送辞を受け、卒業生代表から答辞がありました。答辞の紹介はあまりないと思いますが、コロナ禍で3年間苦労した卒業生諸君です。私も答辞を聞いて、とても感動しました。後輩たちへの熱い思いも語られています。コロナ禍を過ごした卒業生のメッセージを紹介します。

 寒さの中に暖かい日差しが差し込み、花々の息吹を感じられる季節となりました。本日はご多忙の中、私たち77期生の卒業式にご臨席くださり、ありがとうございます。

 思い返せば3年前の春、期待と不安の中、川口高校に入学したことを懐かしく思います。入学してから過ごしてきた3年間は本当にあっという間でした。クラスの仲間と過ごした何気ない日常も今となってはかけがえのない時間に思えます。

 期待に胸を膨らませていた私たちの高校生活は入学式直後、新型コロナウイルス感染症の影響による学級閉鎖から始まりました。学校に行けるようになってから一日中マスクを着用して過ごし、昼食をとる際も自席で正面を向いて食べたりと感染症対策をしながら学校生活を過ごしていました。友達を作ることもままならない状況で、高校生活の一歩を踏み出すのが、より一層難しく感じました。

 そのような中、高校生になって初めての行事である遠足では、八景島シーパラダイスに行きました。クラスの仲も深まり、初めて高校生らしいことができたと思います。そこでは大きな水槽の前で写真を撮ったり、遊園地で遊んだりしました。集合時間ギリギリなのにクーポンを使い切るために売店に立ち寄って、時間に間に合わずに先生に叱られたのも、今となっては良い思い出です。

 体育祭では、クラスTシャツを着てクラスメイトや同じ団の仲間と全力で競技に参加したり、応援しあったりしました。台風の目の棒が頭に当たるという思わぬハプニングもありましたが、優勝を目指して円陣を組み、気合を入れたことや心を一つにして大縄を跳んだことは、とても良い思い出になりました。

 文化祭では、夏休みの後半から準備を少しずつ進めたりして、クラスの人と協力をして取り組むことができました。予算内に抑えるために工夫して衣装を作ったことや、友人が描いた素晴らしい黒板アートはずっと忘れません。初めて自分たちの手で行事を成功させるという経験をし、達成感でいっぱいになったことを今でも覚えています。

 2年生になり、新型コロナウイルス感染対策も緩和し、コロナ禍前の日常が少しずつ戻ってきました。昼食は、よく食堂に行って学食を食べました。とても美味しくて、毎日食べても飽きないくらいメニューが豊富な学食が大好きだったので、もう食べることがべきないと思うと寂しいです。

 大きな学校行事の一つである修学旅行では、広島、大阪、京都に行きました。その中でも一番印象的だったことは、一日目に行った広島平和記念資料館です。そこでは戦争の恐ろしさ、平和であることの尊さを学びました。その時に見た写真の数々は未だにこの目に焼き付いています。私たちは、生きていることが当たり前だと思ってしまい、明日が来ないかもしれないとは想像もつきません。しかし、生きていることは当たり前ではなく、非常に困難なことだと改めて知り、毎日を大切に生きようと思えました。そして、これからを生きる私たちは、これらのことを伝えていかなければならないことを痛感しました。友達と過ごすこの非日常の4日間は一生忘れられない思い出となりました。

 3年生になり、全ての行事が「高校生活最後」になり、だんだん卒業が近づくのを感じながらの学校生活でした。進路実現に向けた活動も本格化し、それぞれが自分自身と向き合って自分のやりたいことは何なのかを深く考えた期間となりました。これまで私たちが不自由なく進路活動に取り組むことができたのは、いつも相談に乗ってくださった先生方やずっとそばで支えてくれた保護者の皆様の助けがあったからだと思います。ありがとうございました。進路活動を通して、私たちは立派に成長することができました。これからも自分自身の夢を実現させるための努力を重ねていきたいと思います。

 私は、この川口高校に入学し、多くのことを経験しました。時には大きな壁にぶつかり、挫けそうにもなりましたが、最後まで諦めず努力し続けることで、困難を乗り越えてきました。この経験を活かして将来どのような困難にも負けず、前を向いて進んでいきたいと思います。

 在校生の皆さんには、「どんな壁が立ちはだかっても、前を向いて、少しずつ進めば、必ず道は開ける」ということを伝えたいです。思った時に行動しなけければ後悔がが残ってしまいます。そうならないためにも何事にも積極的に挑戦し、川口高校でしかできないことをたくさん経験してください。在校生の皆さんが、川口高校の良き伝統を受け継ぎ、発展させていくことを願っています。

 私たちが卒業式を迎えられたのは、ユニークな学年主任の先生をはじめ、個性あふれる学年団の先生方、辛いことも一緒に乗り越えてきた仲間たち、そして、私たちを一番近くで見守り、背中を押してくれた保護者の皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

 私たちはこれから、この三年間での経験を糧として新たな空へ羽ばたいていくと同時に、校訓「高く正し」に恥じないよう日々精進してまいります。

 最後になりましたが、学校生活を支えてくださった全ての方々に改めて御礼を申し上げるとともに、川口高校の更なる発展と皆様のご健康をお祈りし、答辞とさせていただきます。

 令和7年3月13日

   埼玉県立川口高等学校 卒業生代表 守屋 希香