校長日誌
【校長ブログ】「勉強」、がんばっていますか~期末考査が始まりました~
7月2日、川口高校では期末考査の初日です。朝、校内を巡回していると、美化委員会が植えたゴーヤのグリーンカーテンが涼しげです。教室では、早朝から登校した生徒たちが直前チェックに余念がありませんでした。
ところで、「勉強」とは「学習」の意味であることは今日では明白ですが、明治時代初期には「勉強」という語に「学習」という意味はありませんでした。明治5(1872)年発行のヘボンの『和英語林集成』(初版)には、次のように訳されています。「BEN-KYO ベンキヤウ 勉強(tsutome) Industrious,diligent,active-suru,to be industrious」。「勉強」は「勤勉」の意味でしか訳されていません。学習の意味での勉強は、明治になってすぐ生まれたわけではありません。江戸時代には、勉強は「無理をする」あるいは「骨を折って励むこと」、つまり、たゆみない努力を意味する言葉だったようです。商売では「勉強します」といえば、「安売り」を意味していました。関西地方では今でも言う時があると思います。しだいに、安売りの意味ではなく、学習の意味の勉強が凌駕します。
大人が「勉強しなさい」と言っている時は、ただ単に「学習しなさい」と言っているのではなく、ひたすらな努力と勤勉を要求している部分があります。語源はともかく、5日までの期末考査、一人ひとりがしっかりと自分の力を発揮してもらいたいと思います。
【校長ブログ】今年も後半になりました~夏越しの祓~
今日、7月1日で令和6年も後半になりました。私が利用している駅のポスターには、鳩ケ谷氷川神社のポスターで“夏詣”のご案内。初詣と同じように、夏詣でをして心を新たにして後半に臨む方もいます。鳩ケ谷氷川神社にも茅の輪が作られています。
私は、毎年この時期になると吉田兼好の『徒然草』を思い出します。『徒然草』は、清少納言の『枕草子』、鴨長明の『方丈記』とともに日本三大随筆と言われています。高校生の時、古典で『徒然草』の授業の時に、夏越しの祓(なごしのはらえ)の説明がありました。大晦日と同じように、穢れを取り払うために除災行事があるのを初めて知りました。6月30日に茅の輪を確認するために神社に行ったのを覚えています。なぜか、授業の記憶は、先生の余談を覚えているものですね。
『徒然草』第19段では、折々の季節の移り変わりの美しさを説明するとともに、ちょっとした愚痴も記しています。
原文:「折節の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ。(中略)六月の此、あやしき家に夕顔の白く見えて、蚊遣火ふすぶるも、あはれなり。六月祓、またをかし。七夕祭るこそなまめかしけれ。(中略)言ひつづくれば、みな源氏物語・枕草子などにこと古りにたれど、同じ事、また、いまさらに言はじとにもあらず。おぼしき事言はぬは腹ふくるるわざなれば、筆にまかせつつ、あぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべきものなれば、人の見るべきにもあらず。(後略)」
現代語訳:「季節の移り変わりにこそ、風情がある。(中略)貧しき家の夕顔は白く映え、蚊を追い払おうとする煙にも風情がある。六月祓いの儀式もまた興味深い。七夕祭りはあでやかで美しい。(中略)言い続けると、すでに『源氏物語』や『枕草子』で言い古されたことばかり。同じ事を今さらだけど、思ったことを言わないで腹にため込むのは良くないので、筆に任せて書きつつも、どうせ筆まかせのなぐさみで、すぐに破り捨ててしまうもの、これは人に見せるものではないから別にいいのだ。(後略)。」と書いています。
現在は太陽暦を使用していますが、当時は太陰暦です。旧暦では、今日7月1日は、まだ5月26日です。ちなみに、今年は8月3日(土)が旧暦の6月29日に当たります。
今日で、今年も後半が始まりました。新年に立てた目標や願いごとは順調ですか。今ひとつ順調でない方は、仕切り直して、気持ちを新たにして7月を乗り越えましょう。
川口高校は、明日から期末考査が始まります。がんばれ、川高生!
【校長ブログ】期末考査直前の川口高校~学食のDay Salad~
6月27日、川口高校では期末考査5日前。甲子園出場を目指す野球部員も、早朝は自習室で試験勉強をしていました。
川口高校の特色のひとつは、職員室近くの廊下に自習机が随所に配置してあること。机上には「本気で自分に向き合えるチャンスは人生に何度もない。それが今である!」などの激励の言葉が背中を押してくれます。試験直前のこの時期は、先生方に直前指導を受ける生徒がたくさんいます。また、自習室も設置してあります。がんばれ川高生!
校内を歩いていると、学食のポスターもちょっと一工夫。昼休み、私は学食で日替わりサラダを購入しました。キャベツやニンジンの生野菜、スイートコーン、ポテトサラダ、唐揚げなどフレッシュでボリュームのあるサラダでした。ごちそうさまでした。
【校長ブログ】今年一番の暑さになりました~川口高校の熱中症対策~
6月24日、川口高校では梅雨入り後初めての登校日です。天気予報では真夏日の予報。私は、教職員との校長面談がやっと終了したので、授業観察の再開です。2時間目は1年8組の情報Ⅰ。3時間目は1年1組の歴史総合。どちらもグループワークを重視した授業でした。
昼休み、昼休みの放送を活用して、保健委員が熱中症予防の取組を紹介しました。埼玉県は、大塚製薬と健康増進に関する連携協定を締結しています。それを受け、熱中症対策に積極的に取り組んでおり、養護教諭が保健委員に働きかけて啓発活動を行いました。
今日の埼玉県は朝から強い日差しが照りつけて気温があがり、県内すべての観測地点で今年一番の暑さとなりました。県内では午後4時の時点で31人が熱中症の疑いで救急搬送され、22人の方が65歳以上の高齢者とのことでした。
熱中症は、その症状の進行に応じて適切な判断をして対処する必要があります。めまいや立ちくらみなどの熱中症の初期に現われる「サイン」を見逃さず、頭痛や吐き気、倦怠感などの中等症の症状が現れる前に、早めに風通しの良い、涼しい場所で体を休め、水分や塩分などの補給が必要です。意識を失うなどの重症者が出たら、救急車の要請をするとともに、すぐに全身を冷やす応急手当をすることが大切です。
【校長ブログ】川高への思いを語り合いました~学校評議員会・学校評価懇話会を開催~
6月20日、梅雨入り前の真夏を思わせる強い日差しの1日でした。校長室や廊下には、華道部の作品が華やかさを演出しています。今回は、バラ、かすみ草、ソケイの作品です。
本日は、第1回学校評議員会・学校評価懇話会を本校会議室で開催しました。学校評議員会は評議員5名、学校評価懇話会は評議員5名に加え、生徒代表8名、保護者代表4名に参加いただきました。
5時間目は各教室の「総合的な探究の時間」を見学していただきました。
学校評議員会では、今年度の学校自己評価システムシート、進路状況について職員から説明を行い、評議員の皆様から、「川口高校の個別最適学習の取組はどのようになっているか」「川口高校の自慢は生き生きとした生徒」などのご意見・ご要望等をいただきました。
学校評価懇話会では、生徒代表、保護者代表も加わり、本校の学習活動、部活動、情報発信について2グループに分かれて意見交換を行いました。「高校生の今でなければできない活動をやってもらいたい」「学校説明会での受験生へのエールは最高だった」などのご意見をいただきました。
年度末に第2回を行い、年度目標の達成状況等についてご意見をいただくことになります。
【校長ブログ】ウエイトリフティング部 インターハイ出場決定
6月18日、梅雨入りを思わせる雨の中ですが、川口高校では、早朝から生徒が活動しています。川口高校は諏訪山という高台にあり、校庭は椎の木などの巨木に囲まれています。6月のこの時期、各運動部では3年生が高校生活最後の大会に出場しています。今日も、女子バレー部、卓球部、剣道部など奮闘しています。悔いのない高校生活を一人ひとりの生徒に送ってもらいたいと思っています。
6月16日、川口高校ウエイトリフティング部は、埼玉栄高校(さいたま市西区)で開催された全国高校総体埼玉県予選会に出場しました。この大会は、国民スポーツ大会埼玉県予選会も兼ねており、高校生だけでなく、小学生・中学生や大学生、社会人も参加しています。私も激励に駆けつけました。
本校からは男子10名、女子2名が出場し、男子55kg級 三浦虎哲 君、男子61kg級 田口温司 君の2名が全国高等学校総合体育大会(インターハイ)への出場を決めました。全国総体は8月1日~5日に長崎県諫早市で開催されます。川口高校ウエイトリフティング部への応援、よろしくお願いいたします。
また、ALTのマシュー・ドーン先生も出場し、活躍していました。
【校長ブログ】見事なハーモニーを披露しました~吹奏楽部定期演奏会を開催~
6月15日、川口高校吹奏楽部は、戸田市文化会館(戸田市)において、第12回定期演奏会を開催しました。私も激励のために駆けつけました。
川口高校吹奏楽部は昭和35(1960)年に創部し、今年65年目を迎える伝統ある部活動です。学校史を調べてみると「昭和35年7月、管楽器の音が川口高校校庭の木陰、廊下の片隅に響き始めた。結成して1週間後には講堂で楽器購入の報告と紹介を兼ねた最初の演奏会を行った」と記録されています。
歴代の先輩達のバトンを受け継いだ現役部員は、毎日、勉学との両立に格闘しながら懸命に練習を重ねてきました。今回の定期演奏会は一年間の集大成です。部員一人一人が、皆様への感謝の気持ちをあらわす場であるとともに、日頃の成果を発揮して見事なハーモニーを醸しだしてくれました。ご来場いただいた皆様に、吹奏楽部の演奏をお楽しみいただいたと思います。
ご来場いただいた皆様、お世話になった皆様に心から感謝とともに御礼申し上げます。
【校長ブログ】“青春”の想いはいつまでも~早朝の教室風景~
6月11日、早朝の教室を巡回していたら、3年生の教室に素晴らしい黒板アート。
先日の体育祭優勝のメモリアルです。
令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症が、感染法上の2類から5類に移行して行動制限が大幅に緩和されました。あれから1年がたち、川口高校の生徒たちは、充実した高校生活を送るために日々奮闘しています。
子どもたちが自立に向かい成長していくためには「リアルな学び」は欠かせません。人が生きていく上で必要な「現実的な」学びです。そのためには、地域社会の教育資源である「ひと・もの・こと」を活用して、子どもたちに多様な経験ができる機会と場を提供することが重要だと改めて思いました。
【校長ブログ】スポーツが持つ「力」とは~関東高等学校ウエイトリフティング競技大会~
6月8日、川口高校ウエイトリフティング部は、駒沢オリンピック公園屋内競技場(東京都世田谷区)で開催された第57回関東高等学校ウエイトリフティング競技大会に出場しました。男子55㎏級に三浦虎哲君、小原羚貴君、男子61㎏級に田口温司君、江端希未煌君がエントリーし、私も応援に行きました。強豪が競うなか、田口温司君が見事5位に入賞しました。
応援していてスポーツが持つ「力」を改めて感じました。スポーツに熱中している高校生もいずれは社会人になります。スポーツとビジネスの共通点について考えてみました。正解のない課題に取り組むこと、チームで探究しながら前進すること、目標を達成するために全力で取り組むことなどでしょう。高校時代に全力で取り組むことに無駄なことはないと思います。がんばれ、川高生!
【校長ブログ】今年も 熱くなれる 季節がやってきた。~川口高校体育祭~
6月6日、川口高校では、体育祭を開催しました。400名以上の保護者の皆様にもご来校いただき、活躍する川高生の姿をご覧いただきました。応援ありがとうございました。
川口高校の体育祭の歴史を調べてみました。40周年記念誌(1981年刊行)によると、川口高校の体育祭は、当時は男子校でもあり独特の内容であったようです。クラスごとの入場行進に始まり最後の“仮装行列”まで見せる種目が多く、長い練習時間と内容の精査が必要だったそうです。朝から保護者や近所の方が見学する一大イベントであったとのこと。先生も生徒も一緒に浴衣で秩父音頭を踊ったりもしたそうです。競技だけでなく、昭和29(1954)年の体育祭では「牛若丸と弁慶」「映画『君の名は』」などの仮装行列が盛り上がったそうです。
私は川口高校が8校目の学校勤務となりますが、開会式から川高生の元気な声に感動しました。特に集団演技を思わせる体操は圧巻でした。学年縦割りで「団」を編成し、個人競技、集団競技などで総合優勝を目指します。今年の目玉は応援合戦。1年生、2年生、3年生が混合で編成される「団」ごとのパワーに感動しました。
総合優勝は、赤団。爽やかな初夏の空に感謝の気持ちを込めた閉会行事では、最後は校歌を高らかに全員で歌って今年の体育祭は幕を閉じました。
御来校いただいた保護者の皆様に御礼申し上げますとともに、運営に御協力いただきましたPTA後援会の皆様に感謝申し上げます。
【校長ブログ】ピンクのガーベラの花言葉は「前進」~華道部「初夏の始まり」~
5月30日、川口高校では本日から6月5日まで三者面談期間です。
川口高校では、校内各所に華道部の素晴らしい作品があります。川口高校は創立の昭和16(1941)年から平成8(1996)年まで男子校でした。華道部は共学化の平成9(1997)年度に華道同好会として発足しました。
今回の作品テーマは「初夏の始まり」。校長室に作品を持ってきてくれました。管理棟とホームルーム棟の2階渡り廊下を中心に作品が展示してあります。保護者の皆様、面談だけでなく是非とも校内をご見学ください。作品が校内を華やかにしてくれています。
華やかさと可愛らしさを併せ持ったガーベラの花は、色数も豊富でお花屋さんでも手に入れやすく、プレゼントとして人気のお花です。ガーベラ全体の花言葉は「神秘・崇高美」。赤いガーベラの花言葉は「燃える神秘の愛」。赤いバラとともに、その花言葉から、愛情を伝える贈り花としても人気があります。ピンクのガーベラの花言葉は「前進」。すっきりと伸びた長い茎と、気持ちを明るくしてくれる色合いが合わさると、新しい門出を迎える方のお祝いの花としてぴったりです。
元気で可愛らしいお花ですが、カジュアルなアレンジだけでなくエレガントなあしらいも似合い、アレンジごとにさまざまな表情を見せてくれます。ガーベラ全体の花言葉は、そんな不思議な魅力に由来しているのかもしれません。
【校長ブログ】川高生全員が激励!~ウエイトリフティング部関東大会出場~
5月29日、川口高校では関東大会に出場するウエイトリフティング部の壮行会を全校生徒が集い、本校アリーナで開催しました。
6月8・9日に駒沢オリンピック公園屋内競技場(東京都世田谷区)第57回関東高等学校ウエイトリフティング競技大会に出場する4名の選手への壮行会です。
男子55㎏級 三浦虎哲 君
男子55㎏級 小原羚貴 君
男子61㎏級 田口温司 君
男子61㎏級 江端希未煌 君
校長、生徒会長からの激励の後、生徒会から激励金が贈呈されました。最後に部長の田口温司君から力強い決意表明があり、満場の拍手で激励しました。
川高生978名全員が応援をしています。がんばれ!ウエイトリフティング部。
【校長ブログ】カワタカ食堂を知っていますか?~川口高校の学生食堂~
早いもので5月も終わろうとしています。川口高校では中間考査も終わり、1年生も高校生活に慣れてきたと思います。
中学校では、お昼ごはんに給食がありますが、高校では給食はありません。高校のお昼ごはんは、お弁当などを各自が持参します。お昼休みに教室でお弁当を食べている生徒もたくさんいますが、お弁当がなかった時やお弁当だけでは物足りない時もありますよね。そんな時に頼りになるのが、諏訪山会館の1階にあるカワタカ食堂です。私も時々利用しますが、高校の学生食堂とは思えないクオリティの高さです。
開放感のある明るい食堂です。
入口にはメニューの紹介、お持ち帰りもできます。
私は、今日はA定食。450円です。現在高値のキャベツも山盛りです。お昼に、温かいご飯が食べられるのはとてもうれしいですね。
カワタカ食堂ではInstagramもやっています。是非フォローしてくださいね
【校長ブログ】母校川口高校での教育実習が始まりました
5月27日、川口高校では前期の教育実習が始まりました。11名の本校卒業生が実習に臨んでいます。国語1名、地歴1名、公民1名、数学2名、理科1名、英語1名、保体3名、書道1名です。川口高校を卒業してから久しぶりの川口高校での3週間の生活です。職員朝会の自己紹介では全員が緊張していました。「高く正し」を実践した先輩として、現役生に良い刺激を与えてもらいたいと思います。
現在、教職員との面談期間中ですが、午後、校長としての教育実習についての講話と意見交換を行いました。「高校生活は充実して楽しかった」と語ってくれたのが、私としては何よりの収穫です。新型コロナウイルスの感染防止のために多くの行動制約を受けた世代です。3週間という短い期間ですが、アップデートしてもらいたいと思っています。
【校長ブログ】今も昔も子育ての悩みは同じです~学校に求められるもの~
5月25日、風薫る五月と言われますが、青葉を吹きわたる爽やかな初夏の風が感じられます。川口高校では、午前中は吹奏楽部、ラグビー部の保護者会、午後にはPTA・後援会総会が開催されます。グラウンドでは、野球部、サッカー部、陸上部、体育館でもバスケットボール部、バレーボール部をはじめ活発に活動しています。
PTAの活動は19世紀末にアメリカで始まりました。日本には戦後、アメリカから導入されたものです。PTAとは、Parent-Teacher-Associationの略で、「親と教師の会」という意味です。保護者と教師が互いに学び合い協力し合って、子どもたちの健全な成長を図ることが目的の団体です。
川口高校は、昭和16(1941)年に創立されました。学校史を見てみると、PTAの発足は昭和22(1947)年11月です。父母会はありましたが、戦後にPTAが発足しています。
後援会は、前身の運動部後援会が結成されたのが昭和31(1956)年4月でした。昭和30(1955)年に野球部が春季高校野球大会で準優勝を遂げ、夏季には全国高等学校野球選手権大会南関東地区大会の出場権を得て、埼玉県・千葉県の代表校4校で代表校の座を目指して対戦しましたが惜しくも敗れました。甲子園出場を後押しするために運動部後援会が結成され、運動部全体を援助するようになり、文化部支援の声が強まり、昭和49(1974)年から後援会として川口高校全体の教育活動をサポートする団体として発足しました。
昭和36(1961)年の川口高校全景(周囲は田んぼだけです)
川口高校は、戦前の旧制中学校からの伝統校です。校長室の資料の中から、他校の保護者への「御願」と題した資料がありましたので要約して紹介します。なかなか興味深い内容です。
・家庭においては、絶えずお子さんの登校・帰宅に注意し、異常があった場合には、すぐに学校にご連絡ください。遅刻・欠席等はやむを得ない場合に限るようにしてください。
・起床・勉強等を規則的にし、夜間の外出・娯楽施設等への出入りは十分に注意してください。悪友の誘惑は青少年にとっては一番危険であり、堕落の原因になりますから、友人の選択には特にご注意ください。
・読物の影響も非常に大きく、雑誌や文学書を読みふけって、教科書を打ち捨てて顧みないなどは学力低下の最大の原因ですから、日頃の読物にご留意ください。
※今ならスマホに夢中ならないように、ということでしょうか。
・保護者会の開催のご連絡を差し上げた場合には、万障お繰り合わせの上、ご来校くださるとともに、機会あるごとにご来校・ご懇談をお願いします。
という4つの留意事項ですが、これ、いつ頃書かれたものだかおわかりですか?何と、今からちょうど90年前の1933(昭和8)年2月7日に出された「我等が學校」という、今でいう「学校便り」のような配布物の中の文章です。この「我等が學校」の中には、学校と保護者との連携の大切さや、社会との交流・協力の必要性、そして、そのことによる生徒自身の自覚と奮起によって、初めて教育効果が上がる旨の内容が、格調高い文章で書かれています。
1933(昭和8)年とは、その前年に陸海軍の青年将校たちが内閣総理大臣官邸に乱入し、犬養毅首相を暗殺した5・15事件(1932年)が起きています。また、1933年は、ドイツではアドルフ・ヒトラーによるナチス政権が成立したり、日本が1931(昭和6)年に勃発した満州事変の対応をめぐり国際連盟から脱退をするなど、世界的にも不安定な時代に突入していきます。
90年前も現在も、保護者と学校の連携の大切さなど同じようなことが言われています。子供を健全に成長させるという教育の本質は、変わらないということでしょうか。
旧制川口中学校野球部(1946年12月17日)
【校長ブログ】先生も勉強しています~AEDの使い方、わかりますか?~
5月21日、川口高校では1学期中間考査2日目です。生徒は考査が午前中で終了しました。
午後、川口市消防局の方にご来校いただき、教職員はAED(自動体外式除細動器)の使用方法を学ぶ「救命講習会」を受講しました。この講習会は、授業中や課外活動時に急病人や負傷者に対して、迅速かつ適切に応急措置を行うことができる知識を身につけ、AEDを用いてより効果的な心肺蘇生法を行い、救命率向上につなげることが目的です。
AEDの設置は全国各地で広がっていますが、いざという時に利用できなければなりません。私も受講しましたが、先生方も熱心に受講していました。
川口市消防局の皆様、ありがとうございました。
【校長ブログ】天使の主張と悪魔のささやき~テストの不正行為を考える~
川口高校では、5月20日から1学期中間考査が始まります。この土日、試験勉強に追われていると思います。テストは、実施する教員の側からすると、一人ひとりの学習到達度を把握するための方法の一つですが、受験する生徒の側からすると、1点でも多く点数を取りたいと思うもの。
テストにおける不正行為は、宮崎市定さんの名著『科挙―中国の試験地獄―』(中公新書 1963年)に詳しい。中国の科挙制度研究の権威が解き明かした名著です。私も大学生の時に読みました。かつて中国では、官吏登用のことを選挙といい、その試験科目による選挙を「科挙」と呼んでいました。官吏登用を夢みて、中国各地から秀才たちが続々と大試験場に集まってきまし。浪人を続けて老齢になってしまった人もいました。なかには、70万字にもおよぶ四書五経の注釈を筆写したカンニング襦袢をひそかに着こんだ者もいました。
5月16日付けの新聞各紙では、早大受験生のSNSを利用した不正行為について報道しています。5月17日付けの朝日新聞朝刊の「天声人語」を中間考査直前の高校生に紹介します。精一杯勉強をして、正々堂々とテストに臨もう。
明日のテストで0点になるのは、どうしても避けたい。のび太は、タイムマシンで一週間後の出木杉くんの部屋に忍び込む作戦を立てる。返却された100点の解答を写せばいい。藤子・F・不二雄さんの『ドラえもん』である。
ところが部屋に行くと、もう一人の自分が現れ、こう説く。「他人の答案をみて百点とろうなんて。セコいことを考えるなよ」。のび太は言い返す。「出木杉くんの答案をみるしかぼくの生きる道はないんだ」。心の中の天使と悪魔。葛藤が彼にもあったのだろうか。
男子受験生が早稲田大の入試で不正に使ったのは、ひみつの道具さながらの「スマートグラス」だった。カメラや通信機能付きメガネで問題を外部に流して、他人が解いた答えを書き込んだ。入試を妨害した疑いで書類送検された。
「国立大に落ち、ほかの大学も落ちることが不安で思いついた」というから、浪人生活を重ねた末かと思えば、当時は高校生だったという。何が愚行に駆り立てたのだろう。もう道がないと思ってしまったのか。
『ドラえもん』のその後を伝えたい。結局、のび太はやれるところまでやるしかない、と思い直す。ドラえもんが取り出した道具は「時門」。水門のように時の流れをゆっくりにする。徹夜で勉強してテストは65点。「自分だけの力でここまでやれた」と、のび太は泣いた。
青年よ。てんとう虫コミックスの第37巻をどこかで手にとってほしい。秘密の道具はないけれど、やり直す時間は、まだ、たっぷりある。
(2024年5月17日 朝日新聞「天声人語」)
【校長ブログ】やりたいことは、知っていることの中からしか生まれない~川口高校で公開授業・保護者会~
5月11日、川口高校は公開授業、1・2学年保護者会、PTA後援会新旧理事会を開催しました。朝、校内を巡回していると街並みの向こうに富士山が見えました。
保護者の皆さんには、自由に校内の授業の様子をご覧いただきました。その後、アリーナで学年別保護者会。学習への取組、進路指導、修学旅行などの説明を行いました。
これからの予測困難な時代、お子さんたちはどのように過ごしたらよいでしょうか。よく大人は子どもたちに「自分のやりたいことをやりなさい」というアドバイスをします。私も担任していた生徒に言っていた言葉の一つですが、今では反省しています。よく考えてみてください。やりたいことは、知っていることの中からしか生まれないからです。
私は、お子さんに、教員だけでなく人生の先輩である保護者の方も含めた大人が、「良い情報」を積極的に提供し、お子さん自身が興味関心を深め、自考しながら「知っている世界」を広げてあげるサポートが大切だと思っています。
【校長ブログ】パワーだけでない、滑らかで美しい動作~川口高校ウエイトリフティング部関東大会出場へ~
春の大型連休も後半になりましたが、夏を感じさせる陽気となっています。5月3日、埼玉県高等学校ウエイトリフティング競技大会関東予選が埼玉栄高校で開催され、川口高校ウエイトリフティング部も出場し、私も激励に行きました。
国際大会でメダリストを輩出するなど、日本の選手が世界的に数多く活躍するスポーツの一つである、ウエイトリフティング。強豪埼玉栄高校の活躍の中、川口高校の選手は奮闘し、田口温司君(3年)、三浦虎哲君(2年)、小原羚貴君(2年)、江端希未煌君(2年)の4名が、6月の関東大会(神奈川県藤沢市)への出場を決めました。今後も応援よろしくお願いいたします。
ウエイトリフティングの魅力は、パワーだけでない、滑らかで美しい動作。
ウエイトリフティング競技は、プラットフォーム(床)から両手でバーベルを握り、一気に頭上まで持ち上げる「スナッチ」。プラットフォームからいったん鎖骨の位置までバーベルを持ち上げ(クリーン)、次の動作で頭上に差し上げる(ジャーク)「クリーン&ジャーク」。スナッチとクリーン&ジャークをそれぞれ3回ずつ行いそれぞれの最高重量の合計を競います。ただし、前半のスナッチで3回とも失敗した場合は失格となり、クリーン&ジャークに進むことができません。
川口高校ウエイトリフティング部は、川口高校が男子校から男女共学校へ移行した翌年の平成10(1998)年度に発足し、高校総体(インターハイ)にも出場したことのある伝統ある部です。引き続き、応援をよろしくお願いいたします。
【校長ブログ】“伝えたい”の思いを大切に~演劇部春季演劇祭~
春の大型連休に入り、高校の部活動は各地で大会が開催されています。4月27日、埼玉県高等学校演劇連盟南部地区春季演劇祭が、戸田市新曽福祉センター(埼玉県戸田市)で開催され、川口高校演劇部も出場し、私も激励に行きました。
上演作品は青春ものの作品が多い石岡 克さんの『生きてますかぁ!?』。廃屋となった洋館。幽霊が出るという噂のあるその場所に、大学生のカップルが二人やってくる。ところが、そこには既に空き巣が一人侵入していて…。
私は初見でしたので、ホラー系の展開かと思いましたが、思春期の悩みをいかに乗り越えるkかを示唆する青春ドラマで、観客に勇気を与えてくれました。演出、照明、音響、演者が一体となった作品でした。
演劇部活動のご紹介 → 演劇部
劇作家、演出家である平田オリザさんは、『わかりあえないことから―コミュニケーション能力とは何か』(講談社現代新書 2012年)で次のように述べています。「『伝える技術』をどれだけ教え込もうとしたところで、『伝えたい』という気持ちが子どもの側にないのなら、その技術は定着していかない。では、その『伝えたい』という気持ちはどこから来るのだろう。私は、それは、『伝わらない』という経験からしか来ないのではないかと思う。」と述べています。平田オリザさんの本もお勧めです。