【校長ブログ】必ず道は開ける~県立川口高校卒業式 卒業生式辞~
3月13日の県立川口卒業式では、在校生代表の送辞を受け、卒業生代表から答辞がありました。答辞の紹介はあまりないと思いますが、コロナ禍で3年間苦労した卒業生諸君です。私も答辞を聞いて、とても感動しました。後輩たちへの熱い思いも語られています。コロナ禍を過ごした卒業生のメッセージを紹介します。
寒さの中に暖かい日差しが差し込み、花々の息吹を感じられる季節となりました。本日はご多忙の中、私たち77期生の卒業式にご臨席くださり、ありがとうございます。
思い返せば3年前の春、期待と不安の中、川口高校に入学したことを懐かしく思います。入学してから過ごしてきた3年間は本当にあっという間でした。クラスの仲間と過ごした何気ない日常も今となってはかけがえのない時間に思えます。
期待に胸を膨らませていた私たちの高校生活は入学式直後、新型コロナウイルス感染症の影響による学級閉鎖から始まりました。学校に行けるようになってから一日中マスクを着用して過ごし、昼食をとる際も自席で正面を向いて食べたりと感染症対策をしながら学校生活を過ごしていました。友達を作ることもままならない状況で、高校生活の一歩を踏み出すのが、より一層難しく感じました。
そのような中、高校生になって初めての行事である遠足では、八景島シーパラダイスに行きました。クラスの仲も深まり、初めて高校生らしいことができたと思います。そこでは大きな水槽の前で写真を撮ったり、遊園地で遊んだりしました。集合時間ギリギリなのにクーポンを使い切るために売店に立ち寄って、時間に間に合わずに先生に叱られたのも、今となっては良い思い出です。
体育祭では、クラスTシャツを着てクラスメイトや同じ団の仲間と全力で競技に参加したり、応援しあったりしました。台風の目の棒が頭に当たるという思わぬハプニングもありましたが、優勝を目指して円陣を組み、気合を入れたことや心を一つにして大縄を跳んだことは、とても良い思い出になりました。
文化祭では、夏休みの後半から準備を少しずつ進めたりして、クラスの人と協力をして取り組むことができました。予算内に抑えるために工夫して衣装を作ったことや、友人が描いた素晴らしい黒板アートはずっと忘れません。初めて自分たちの手で行事を成功させるという経験をし、達成感でいっぱいになったことを今でも覚えています。
2年生になり、新型コロナウイルス感染対策も緩和し、コロナ禍前の日常が少しずつ戻ってきました。昼食は、よく食堂に行って学食を食べました。とても美味しくて、毎日食べても飽きないくらいメニューが豊富な学食が大好きだったので、もう食べることがべきないと思うと寂しいです。
大きな学校行事の一つである修学旅行では、広島、大阪、京都に行きました。その中でも一番印象的だったことは、一日目に行った広島平和記念資料館です。そこでは戦争の恐ろしさ、平和であることの尊さを学びました。その時に見た写真の数々は未だにこの目に焼き付いています。私たちは、生きていることが当たり前だと思ってしまい、明日が来ないかもしれないとは想像もつきません。しかし、生きていることは当たり前ではなく、非常に困難なことだと改めて知り、毎日を大切に生きようと思えました。そして、これからを生きる私たちは、これらのことを伝えていかなければならないことを痛感しました。友達と過ごすこの非日常の4日間は一生忘れられない思い出となりました。
3年生になり、全ての行事が「高校生活最後」になり、だんだん卒業が近づくのを感じながらの学校生活でした。進路実現に向けた活動も本格化し、それぞれが自分自身と向き合って自分のやりたいことは何なのかを深く考えた期間となりました。これまで私たちが不自由なく進路活動に取り組むことができたのは、いつも相談に乗ってくださった先生方やずっとそばで支えてくれた保護者の皆様の助けがあったからだと思います。ありがとうございました。進路活動を通して、私たちは立派に成長することができました。これからも自分自身の夢を実現させるための努力を重ねていきたいと思います。
私は、この川口高校に入学し、多くのことを経験しました。時には大きな壁にぶつかり、挫けそうにもなりましたが、最後まで諦めず努力し続けることで、困難を乗り越えてきました。この経験を活かして将来どのような困難にも負けず、前を向いて進んでいきたいと思います。
在校生の皆さんには、「どんな壁が立ちはだかっても、前を向いて、少しずつ進めば、必ず道は開ける」ということを伝えたいです。思った時に行動しなけければ後悔がが残ってしまいます。そうならないためにも何事にも積極的に挑戦し、川口高校でしかできないことをたくさん経験してください。在校生の皆さんが、川口高校の良き伝統を受け継ぎ、発展させていくことを願っています。
私たちが卒業式を迎えられたのは、ユニークな学年主任の先生をはじめ、個性あふれる学年団の先生方、辛いことも一緒に乗り越えてきた仲間たち、そして、私たちを一番近くで見守り、背中を押してくれた保護者の皆様のおかげです。本当にありがとうございました。
私たちはこれから、この三年間での経験を糧として新たな空へ羽ばたいていくと同時に、校訓「高く正し」に恥じないよう日々精進してまいります。
最後になりましたが、学校生活を支えてくださった全ての方々に改めて御礼を申し上げるとともに、川口高校の更なる発展と皆様のご健康をお祈りし、答辞とさせていただきます。
令和7年3月13日
埼玉県立川口高等学校 卒業生代表 守屋 希香