【校長ブログ】「できる高卒」と「できる大卒」~自ら学ぶ力~
2月3日、県立川口高校では、本日から3学年が家庭研修です。大学受験をする生徒諸君の第一志望校合格を祈念しています。
今日は立春。暦のうえでは春になりましたが、寒いですね。この週末、教育社会学者である 濱中淳子 早稲田大学教授の『検証・学歴の効用』(勁草書房 2013年)を読みました。濱中淳子教授には、データ分析等でご教示をいただいたことがあります。学校教育にとても造詣の深い先生です。先生の大学入試センター研究開発部准教授時代の著作です。
「できる高卒」と「できる大卒」の分析をされています。「仕事ができる人」「仕事ができない人」を所得で表すことによって分析しています。人生において収入が全てとは思いませんが、一つの指標として興味深い分析でした。分析で吟味した要因は、①上司との対話の頻度 ②あこがれる先輩がいるかどうか ③自己学習時間 だそうです。
「できる高卒」は、①②は相関があり、③は影響があまりなかったとのこと。上司とよく対話し、先輩や同僚の中にお手本となる人を探し、そこから学んでいる傾向が強いとのこと。他者との関わりの中で成長しているようです。「できる大卒」は、①②は他者と違いが少なく、影響があるのが③の自己学習時間だったそうです。自分で何かテーマを決めて勉強するとか、新しい課題について調べたりする人が「できる大卒」になるとの指摘。国際比較調査でも、日本の社会人は学校を卒業すると自ら勉強しない傾向が強いと指摘されています。
また、社会教育学者の 広田照幸 日本大学教授も「高卒の人でも、大卒の中の『できる人』と同じように、自分で何かテーマを決めて、コツコツ勉強してほしい。気づくと、あまり努力もしていない大卒の『できない人』を尻目に、会社の中の出世頭になったりするかもしれませんよ」と指摘しています。
いつの時代でも自ら学ぶ力は大切だと思います。