【校長ブログ】言葉や行動は、人から人へ「こだま」します。~アンパンマン誕生秘話~
4月21日、県立川口高校の木々が勢いよく芽吹いてきます。春に植物が一斉に芽吹くことを「スプリングフラッシュ」と言うそうです。今日は春というよりは初夏のようは暖かさです。
芽吹きと同じように川高生も活躍しています。野球部は春季大会で県大会出場を決め、4月25日に大宮南高校と対戦します。女子テニス部は学校総合体育大会南部地区予選会に出場し。ダブルスは笹川(3年)丸山(3年)ペアが2大会連続で県大会出場を決め、団体戦でも関東大会県予選会への出場権も獲得しました。
連続テレビ小説「あんぱん」。“アンパンマン”を生み出したやなせたかしと暢の夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった二人の人生。生きる喜びが全身から湧いてくるようなドラマとして人気のようです。
先日、ノンフクション作家である門田隆将さんの『慟哭の海峡』(2017年 角川文庫)を読みました。アンパンマンの作者である漫画家 やなせたかし さんにスポットをあてた本です。私は授業では主に日本史を教えていましたが、歴史を学ぶなかで、常識を疑うこと、常に自分の立ち位置を意識することが大切だと教えてきました。「正しい」といわれていたことが間違っていたことはよくあります。
アンパンマンは、他のヒーローと違いますよね。私たちのイメージする「正義の味方」といわれるスーパーマンやウルトラマンなどのヒーローは、悪役を徹底的にやっつけて、さっそうと去っていきます。街をめちゃくちゃにしても被害者に謝りはしません。
やなせさんは、戦争を経験しています。私たちが想像を絶する場面も経験したでしょう。京都帝国大学出身の弟は23歳で戦死しています。そのような経験から「正しいこととは何だろう」「正義の味方といわれるヒーローは、一体だれを助けているのだろう」と考えたようです。
真のヒーローとは、本当に困っている時、一人ぼっちで寂しくて心が折れそうな時などどうしようもない時などに、やってきてくれる人だと気付きました。本当に人を救おうと思えば、自分が傷つかずにはできない場面があると思います。アンパンマンはヒーローだけど情けない。だからチビッ子はすぐに見向きもしなくなる。お腹がすきすぎて困っている人に、自分の顔を食べさせて助ける場面があります。自己犠牲の大切さへのメッセージですね。でも、バイキンマンやドキンちゃんを絶対に殺さない。大人になるとアンパンマンの偉大さがわかります。それは君たちが親になる時です。
本当の正義、正しいこととは何か。それは、自分のことよりも他人のことを考えて行動し、人を大切にすることです。困っている人を助けること、それはいつの時代にも絶対に変わらない正しいこと、正義だと思います。
先日、バスの中で優先席に座りながらスマホゲームに夢中になり2人組の高校生を見かけました。高齢者の方が来たらあなたならどうしますか。教科書には出ていませんが、優先席は電車やバスで一番乗りやすい場所、降りやすい場所にあります。電車やバスでは優先席に限らず、高齢者や足の不自由な方、妊娠している方などいたら、席を譲りましょう。「どうぞ」の一言です。周囲の人への気ばたらきが大切です。
たった一言で人は傷つく。たった一言で人は微笑む。たった一つの行動で人は癒されます。自分がやさしく話しかければ、きっと相手も穏やかに答えを返してくれる。言葉や行動は、人から人へ「こだま」します。