ブログ

【校長ブログ】「壁」を乗り越えよう!~2学期が始まりました~

 9月2日、久しぶりの青空のもと、県立川口高校では2学期が始まりました。県立川口高校がある場所は諏訪山という高台で、学校からは川口のタワーマンションや新宿方面の高層ビル群を見ることができました。

 本日は、新たに着任された2人の先生の着任式、2学期始業式、表彰式、シェイクアウト埼玉(避難訓練活動)をオンラインで行いました。

 表彰式では、男子バドミントン部、吹奏楽部、書道部、軽音楽部(歌楽反応、DUMMY DAHLIA)、美術部、日本赤十字社からの献血継続50年の感謝状を表彰しました。校長講話では、養老孟司さんのベストセラー新書『バカの壁』(新潮新書2003年)をもとに「壁を乗り越えよう!」というテーマでお話ししました。9月6・7日は諏訪山祭(文化祭)です。充実した2学期を過ごしてください。

 校長講話の内容を紹介します。

 この夏休み、学校では、照りつける太陽の下、校庭で部活動に励む姿がありました。体育館では蒸し暑い中、元気に声をかけ合う姿がありました。校舎内では、補習、部活動、文化祭の準備などに取り組んでいる姿がありました。特に3年生は、自分の進路に向けて、とても暑い夏を過ごしたと思います。

  今日は、「壁を乗り越えよう」という話をします。皆さんは、「壁」というとどういうイメージを持ちますか。私は、高校の時に山岳部に所属していました。1年生の時に、夏合宿5泊6日で北アルプスに行きました。標高3180mの槍ヶ岳が最終目的地です。東京の上野駅から夜行列車に乗り、富山県から北アルプスに入山したとき、先輩があれが槍ヶ岳だと指差しました。自分の目測だと5cmです。自分の背中の荷物は30kg。ふと、「生きて帰れないかな」と15歳の自分は思いました。4日後、槍ヶ岳の頂上に立てた自分を今でも覚えています。

  皆さん。この2学期、「壁を乗り越えましょう」。人生は、毎日、大きな壁、小さな壁の連続です。解剖学者で東京大学名誉教授の養老孟司さん(1937-)の「バカの壁」(新潮新書 2003年)という本から、誰もがぶつかる可能性のある「バカの壁」について詳しくお話しようと思います。今から21年前に発行されたこの本は、累計450万部が発行された戦後第5位のベストセラーです。

  養老孟司さんは、「人間の脳は、つい楽をしようとする。しかし、自分がどこまでならできるのかを認識することが大切だ。そのためには、迷い、挑戦し、失敗を繰り返すことが大切だ。そうやって育てた感覚が“自信”となるのだ」と言っています。壁だと認識した時、その壁の半分は超えているのです。壁があることは何かにチャレンジしている証拠です。皆さんには限りない可能性があります。壁を乗り越えるたびに、人間は強くなります。

 でも、どうしても乗り越えられない壁に出会ったとき、回り道をすることも大切です。

  バカの壁とは、“バカ”な人と賢い人を分ける壁のことだそうです。一体、“バカ”な人と賢い人を分ける壁とは何なのでしょうか。結論から言うと、『自分の知らない世界を知ろうとするかどうか』ということだそうです。つまり、バカな人は自分の知らない世界のことを知ろうとしない人のことであり、賢い人は、自分の知らない世界について頑張って知ろうとする人のことだということです。養老孟司さんが言うには、“バカ”な人には、いくつか特徴があると言います。その中でも、人が陥ってしまいがちで、私自身も陥りがちな二つの特徴について紹介します。一つ目は、すぐに「分かった気になる」というものです。二つ目は「正解が一つと思いがち」というものです。

  皆さんも、4年にわたる新型コロナウイルス感染症への対応で、「正解」は一つではないことに気付いたと思います。ポストコロナの時代はコロナ禍前に戻るのではなく、新しい時代を創り上げることが大切だと思います。2020年に経済産業省が、これからの社会で求められる力について調査分析を行いました。今まで求められた力は「注意深さ・ミスがないこと」です。典型的なのは学校のテストですね。その他、責任感・まじめさ・信頼感・誠実さ。今までも大切ですし、これからも大切な資質でしょう。しかし、皆さんが40歳代になる2050年には「問題発見力」、つまり物事を見極める力が求められると分析しています。

 そのためには、「自分で学び続ける力」が子供も大人も求められます。

  2学期は諏訪山祭、修学旅行など、大きな行事が続きます。3年生は進路決定の時期です。皆さん、生徒・先生・保護者が一体となったチーム川高で力をあわせて壁を乗り越えましょう。

 川高生の皆さん

 元気に挨拶してますか。

 他人に優しくしてますか。

 夢を諦めていませんか。

 志高く。