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2024年12月の記事一覧

【校長ブログ】高校生の無限の可能性を感じました~県教委主催・探究活動生徒発表会~

 12月26日、私は、日本薬科大学で開催された探究活動生徒発表会(埼玉県教育委員会主催)を初めて見学してきました。主催者の発表では約1100名の参加があり、159組490名の生徒が口頭発表やポスター発表に取り組んでいました。

 県立川口高校の生徒は参加していませんが、普通科・専門学科・総合学科の枠を超えただけでなく、、NHKでドラマ化された「宙わたる教室」のように朝霞高校定時制の口頭発表もあり、多くの生徒の発表を直接聞けたので、とても刺激的でした。

 埼玉県教育委員会では、平成22(2010)年度から東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)と連携し「県立高校学力向上基盤形成事業」に取り組んできており、毎年、「未来を拓く『学び』プロジェクト」シンポジウムを開催してきました。東京大学CoREFは平成29(2017)年3月に年限満了につき活動を終了しました。東京大学CoREFの研究チームは、東京大学高大接続研究開発センターを経て、令和3(2021)年4月から一般社団法人教育環境デザイン研究所にCoREFプロジェクト推進部門を設置し、協調学習の授業づくりプロジェクトに取り組んでいます。

 私も、高校教育指導課に勤務していた平成29・30年度には主催者側として運営に関わっていました。主体的・対話的で深い学びの一つとして知識構成型ジグソー法のシンポジウムには、北海道から福岡県までの21の都道府県から約700名の教員が参加していました。

 今回の発表会と前述のシンポジウムの違いは、生徒の発表の場であるかです。生徒の理科・数学などに基づいた探究だけでなく、地域探究やデータサイエンスに基づいた探究など、様々な切り口に感心しました。高校生の無限の可能性を感じました。

【校長ブログ】アニメ『めぐみ』を視聴~1学年人権教育~

 12月20日、県立川口高校では、1年生を対象とした人権教育を開催しました。アニメ『めぐみ』を各教室で視聴し、リフレクションを行い、北朝鮮当局による拉致問題についての理解を深めてもらいました。

 アニメ「めぐみ」は、昭和52(1977)年、当時中学1年生だった横田めぐみさんが、学校からの帰宅途中に北朝鮮当局により拉致された事件を題材に、残された家族の苦悩や、懸命な救出活動の模様を描いた25分のドキュメンタリー・アニメです。

 令和6年12月県議会において、埼玉県拉致問題等の早期解決に向けた施策の推進に関する条例が成立し、令和6年12月24日に公布・施行されました。

 本条例は、拉致問題等の早期解決に向けた取組に関し、基本理念を定め、県の責務及び県民の役割を明らかにするとともに、拉致問題等の早期解決に向けた施策の基本となる事項について定めることにより、拉致問題等を風化させてはならないという決意の下、拉致問題等の早期解決に資することを目的とするものです。

 1日も早い拉致問題解決を祈念しています。

【校長ブログ】一人ひとりのがんばりを称えたい~県立川口高校2学期終業式~

 12月24日、県立川口高校では2学期の終業式・表彰式でした。私は、始業前に各教室をまわるのが習慣になっています。3年生のある教室に「登校日数あと20日」とか「受験に勝って!!今までで一番でっけェ宴をやろう‼」と黒板に書いてありました。残り少ない高校生活への思いを感じます…

 終業式の校長講話では、生徒へのエールを込めて「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉を紹介しました。その後の表彰式では演劇部、吹奏楽部、写真部、軽音楽部、学業成績が優秀と認められたものと資格取得者を称える「チーム川高賞」1年21名、2年21名、3年42名、そして長距離走の表彰であるベスト3走の表彰を行いました。生徒諸君一人ひとりのがんばりを称えたいと思います。

 終業式の校長講話の内容をご紹介します。

 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉があります。

 プロ野球で南海、ヤクルト、阪神、楽天で監督をした野村克也監督の名言と言われています。しかし原典は、18世紀に現在の長崎県の平戸藩主であり、剣術の達人でもあった松浦静山(まつら せいざん)(1760~1841)の言葉と言われています。負けるときは、負けにつながる必然的な要因があるが、どうして勝ったのかどうも思い当たらないという不思議な勝ちがあるということです。

 3年生の一般受験者は、大学入試直前です。学校推薦型選抜入試や総合型選抜入試で進学先が決まったものもいるでしょう。「人生の勝負はまだまだです」。だから、あえて言う。3年生、勝負から逃げるな。学校から逃げるな。入試にしても、就職にしても、社会人になってからも、人生は「勝負」の連続です。勝負ごとで勝利を獲得するためには、負けない戦略をたて、負けない努力をし、そこに時の運が加わった結果、「成功」を手に入れることができます。  

負けない方程式をつくることです。絶対に勝てる戦略というものはありません。しかし、「これをやったらほぼ確実に失敗する」ことはあります。これは、古今東西の歴史が物語っています。現役受験生の「ほぼ確実に失敗する」パターンは、自分一人だけで勉強することです。受験は団体戦といいます。学校で仲間と乗り越えていきましょう。

 私たち教員にできることは、負けない戦略をたててあげることしかできません。実は、皆さんは日頃から部活動などを通してこの「負けない方程式」のトレーニングをしているのです。

 大学入試では負けない戦略を立てることが大切です。合格者の最低点はほとんど変動しない。300点満点であれば、7割とれば合格。精神科医の和田秀樹さんは、「学力は冬に伸びる。冬は春の8倍も勉強が進む」と言っています。春先の迷い勉強よりも12月の勉強は英語・数学の処理速度は2倍。12月、1月の勉強は志願先が絞り込まれ効率は2倍。受験直前で春先よりも12月は集中でき効率は2倍。

 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

 

 川高生の皆さん

 元気に挨拶してますか。

 他人に優しくしてますか。

 夢を諦めていませんか。

 志高く。

【校長ブログ】最後の最後まで学力は伸びます~県立川口高校第3回学校説明会を開催~

  12月21日、県立川口高校では第3回学校説明会を本校アリーナ(体育館)で開催しました。約200名の中学生、保護者の皆様に御来校いただきました。感謝申し上げます。

 校長の学校概要・高校入試説明、生徒会会長の高校生活説明、生徒による部活動説明の後、吹奏楽部の演奏のもと120人の運動部有志生徒による受験生応援エール、校歌披露などを行いました。

 学校説明会後の生徒会主催の校内見学ツアーにも多数の皆様にご参加いただきました。また、今回は吹奏楽部がミニコンサートを開催し、好評でした。

 御来校いただいた皆様には、川高生の元気な様子を実感していただいたと思います。

 受験生の皆さん。学力検査日の2月26日まであと67日。がんばった学力はこれから徐々に現れてきます。最後の最後まで自分の力を信じで取り組んでください。応援しています。

【校長ブログ】音楽は、心に響く魔法である~芸術鑑賞会を開催~

 12月18日、県立川口高校の芸術鑑賞会が越谷サンシティ(埼玉県越谷市)で開催されました。今年は音楽部門の芸術鑑賞会で、東京サロンシンフォニーオーケストラ(高橋勇太 指揮)によるクラシックコンサートです。

 ♪カルメン ♪美しき青きドナウ などの名曲の他、楽器紹介コーナーもありました。特に打楽器の 田中 祐哉 さんのパフォーマンスに全校生徒は大爆笑。
 スペシャルゲストとして、オペラ歌手の 見角 悠代(みかど はるよ)さん、 伊藤 達人 さんがサプライズ登場されました。 見角 悠代 さんは、数々のオペラで活躍し、天性の美声を持つといわれるソプラノ歌手で今回は、♪天使のパン の独唱。伊藤 達人 さんは、伸びやかに広がる歌声で活躍が期待されているテノール歌手で今回は♪オー・ソレ・ミオを熱唱。生徒からは「ブラボー」の声と共に大きな拍手が送られました。そして、二人でヴェルディの♪乾杯の唄 を熱唱。会場は再び大きな拍手に包まれました。
 東京サロンシンフォニーオーケストラと県立川口高校吹奏楽部の共演は、♪サウンド・オブ・ミュージック メドレー。指揮者の 高橋 勇太 さんからも称賛をいただきました。

 私は数々の芸術鑑賞会に出席していますが、音楽部門では、今日の演奏会が「ブラボー」でした。今日お世話になった、指揮者の高橋 勇太 さん、打楽器奏者の田中 祐哉 さん、オペラ歌手の 見角 悠代 さん、伊藤 達人 さんなど、それぞれの世界で大活躍されている錚々たる方々だということを、帰宅してから知りました。
 私は、芸術に触れる時間は、とても大切なものだと思っています。米国の詩人ヘンリー・ワズワース・ロングフェロー(1807-1882)は、「音楽は、心に響く魔法である。」と言っています。音楽の素晴らしさに触れた時間でした。

 東京サロンシンフォニーオーケストラの皆様、オペラ歌手の見角 悠代さん、伊藤 達人 さんに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

【校長ブログ】自分を見つめ直すこと~新聞記事から思ったこと~

 12月12日、県立川口高校では2学期の期末考査最終日。しっかり実力をはっきできたでしょうか。インフルエンザや新型コロナウイルスのために出席停止になってしまった生徒もいました。1日も早い快復を祈念しております。

 期末考査期間中の12月10日、読売新聞の投稿欄U-25に、県立川口高校3年生の 中村 優菜 さんの投稿「自分を見つめる面接練習」が掲載されました。

 「大学受験を迎える時期になり、今まで以上に自分と向き合う時間が増えた。面接練習をしているうちに、自分の長所や短所を改めて考え、自分のことを客観的に見ることができた。将来を考えることで、自分がどう生きて、社会に貢献できるかが明確化され、自然と大学での目標が立てられるようになった。今後も自分を見つめて頑張っていきたい。」という主旨の内容です。

 同じ紙面に、テレビでもおなじみのシャンソン歌手兼料理愛好家の 平野 レミ さんの「キッチンからの幸せ」という連載記事が掲載されていました。都立高校の進学校に進学したものの、性に合わず中退したお話です。学校の窓から見える東京大学の校舎を指さし「あそこに行くには猛勉強だ」と先生たちがハッパをかける校風に合わなかったそうです。悩みに悩んで父親に「学校めたくなっちゃった」と正座して話したところ、「わかった。やめろ」と一言。何も理由を聞かなかったそうです。「その代わり、好きなことを徹底的にやれよ」と言われたそうです。父親も性に合わない学校で苦労していたそうです。

 同じ紙面に高校時代の葛藤が掲載されていましたが、何歳になっても、時々自分を見つめ直すことは大切だと思います。

【校長ブログ】対話を怠っていませんか?~83年前の日米開戦に想う~

 12月9日、県立川口高校では、本日から4日間期末考査です。黄金色に輝く校内のイチョウも冬を思わせています。

川高生には自分の力をしっかりと発揮してくれることを期待しています。

 昨日12月8日は、日米開戦の日でした。新聞各紙では、日米の和解や非戦を誓う言葉がいろいろと報道されていました。私は大学で歴史を学びました。過日参加した歴史教育の会議で「歴史を職業とする私たちは、対話を怠っていないか?」という問題提起があり、ハッとしました。

「歴史とは、現在と過去との対話である」

と語ったのは、英国の歴史家E・H・カー(1892-1982)です。『歴史とは何か』(岩波新書 1962年)が有名ですが、『歴史とは何か 新版』(岩波書店 2022年)も刊行されました。

「歴史は…人の財産。あなた達がこれから生きる未来をきっと照らしてくれるけど、過去から受け取った歴史は、次の時代へひきわたさなくちゃならない。過去の声を受け止めて、守りたかっただけ」(ONE PIECE)

「歴史中のだれもが、はるか昔から同じ血を受け継いで、今、生きているのです。歴史はさらに未来へ続きます。これからの人類の歴史を戦争などのない明るく楽しいものにしたいですね」(どらえもん)

というアニメの言葉も心に響きます。

 1941(昭和16)年12月8日午前3時19分(現地時間7日午前7時49分)、日本軍が米国ハワイ・オアフ島の真珠湾の米軍基地を奇襲攻撃し、3年9カ月に及ぶ太平洋戦争が始まりました。日本近現代史の研究者である 加藤 陽子 東京大学大学院教授の『戦争まで―歴史を決めた交渉と日本の失敗―』(朝日出版社 2016年)という本を紹介します。

 この本は、28名の中高生を対象にした歴史講義がもとになっています。日米開戦の前に、世界が当時の日本に「どちらを選ぶか」と真剣に問いかけてきた交渉事は三度ありました。第一は、満州事変に対して当時の国際連盟によって派遣された調査団が作成したリットン報告書をめぐっての交渉と日本の選択です(1932年)。第二は、ヨーロッパでの戦争と太平洋での日米対立を結びつけることになった日独伊三国軍事同盟締結についてです(1940年)。第三は、1941年4月から日米開戦直前の1941年11月までに日本と米国の間で交渉がなされた日米交渉です(1941年)。

 加藤陽子教授は「この講義の目的は、みなさんの現在の日々の生活においても、将来的に大人になって社会人になった後においても、交渉事にぶちあたったとき、なにか、よりよき選択ができるように、相手方の主張、それに対する自らの主張を、掛け値なしにやりとりができるように、究極の問題例を挙げつつ、シミュレーションしようとしたことにあります」と述べています。

 当時の日本がなぜより良き道を選べなかったのかを、じっくりと考えることができる一冊です。是非ご一読ください。

【校長ブログ】読売新聞「気流」の投稿

 新聞には読者からの投稿で成り立っているコーナーがいくつもあります。12月4日の読売新聞朝刊の投稿欄「気流」に県立川口高校の 主代 優羽 さん(3年)の「人の評価 気にせず撮ろう」が掲載されました。

 「スマホで写真を気軽に撮れるようになった今日、写真撮影の自由度が減っている。SNSの普及によって、自分の写真に対して“いいね!”の承認欲求が強すぎて、写真本来のよさが失われてしまうことを危惧している。高校の写真部に入って本来のよさに気付いた。写真をもっと純粋に楽しむ人が増えることを願う」という主旨の高校生らしい文章です。著作権の関係で全文を掲載できませんが、主代優羽さんの読売新聞「気流」の文章、ぜひ、ご一読ください。

 高校における国語科は、「現代の国語」「言語文化」(いずれも共通必履修科目、以下選択科目)「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」の6つの科目で構成されています。特に「国語表現」は、表現力を培い、表現を楽しむことに力を入れている科目です。教科書を見ても、小論文や志望理由書、手紙やメールの書き方など様々な場面での書く力を培います。最近の日本人は、しっかりと文章を書くことが少なくなっていることが気がかりです。