2025年1月の記事一覧
【校長ブログ】命の大切さを実感~生物解剖観察~
1月22日放課後、県立川口高校では、生物実験室において3学年生物選択者の希望者を対象とした「豚の解剖観察」を行いました。通常の授業ではできない特別講座です。薬学や医療系への進学予定者などが集まりました。生徒も最初はビックリしていましたが、豚の頭部の構造に興味津々。私も、豚の頭部全体を初めてみました。刺激強めなので、写真は画像処理をしてあります。
高校生物の「関心・意欲・態度」の観点は、「日常生活や社会との関連を図りながら生物や生物現象への関心を高め、目的意識を持って観察、実験などを行い、生物学的に探究する能力と態度を身に付けていること」を趣旨としています。身近な生命体としての豚を対象とした解剖実習は、知識の理解を深めつつ、生命尊重の態度を育成する取り組みとして有効です。食への無関心さや生命のリアリティの欠如など、現代社会のもつ課題からも生命への関心を高める必要性があります。
今回の解剖観察を見学して、解剖実習は生徒に生物体の構造と機能に関する実感を伴った理解をさせることができるとともに、生命の素晴らしさを実感させることができると思いました。
【校長ブログ】経験・気合・勘の3Kで共通テスト「歴史総合・日本史探究」を解いてみた?!
大学入学共通テストが終わりました。受験生の皆さん、お疲れさまでした。受験に立ち向かった力は、人生で君を励まし支える力になります。気持ちを切り替えて、最後は自分を信じて、さあ、個別入試、2次試験に向けてラストスパートです。
私は、大学で日本史を専攻していたので、毎年、大学入学共通テストの日本史を解いています。今回から新学習指導要領に基づく出題になっており、「歴史総合・日本史探究」となり、出題内容も変わっています。今回は大学入学共通テスト「歴史総合・日本史探究」を解いてみました。県立川口高校の教科書選定のために昨年6月に日本史教科書に触れて以来、1ページも開いたことのない者が、昨年に引き続き経験・気合・勘の3Kで立ち向かってみました。私の結果は、33問中3問誤答の91点でした(涙)。昨年度と同じ誤答数、同じ得点でした。ご笑覧ください。
今回から、新科目の「歴史総合」と新科目「日本史探究」の試験です。「歴史総合」は、多くの高校では1学年で必履修となり、主に近現代の日本史及び世界史の両方を取り扱い、2022年の学習指導要領施行により新たに設置されました。また、かつての大学入試センター試験では、大問のリード文を読まなくても、各設問ごとの解答ができる問題が多かったのですが、大学入学共通テストでは、リード文と設問の関連性が強くなりました。
私の印象としては、従来になく日本史の知識だけでは対応できない問題があり、受験生はだいぶ戸惑ったと思います。大問1は「歴史上における境界」を主題として、18世紀末~20世紀の東アジアやヨーロッパを中心とした歴史総合範囲の出題。問1のa・bは、時期に注意した上で地図における場所の判断が必要になる。bの上海が開港されたのはアヘン戦争後の南京条約による。「18世紀末」の時点で利用されていた港は、aの広州。従来の「日本史B」では把握しきれない問題。私も第1問でつまずきました。私の誤解答は第1問、第22問、第28問。反省しきりです。
ベネッセコーポレーション・駿台予備学校共催の分析では、「大問数は6で昨年の日本史Bから変更はなく、解答数は32から33に増加した。蒙古襲来絵詞などの馴染み深いものから、ミルクキャラメルの広告まで多彩な資料が扱われ、受験生に身近な視点から出題された。資料読解を通じ歴史事象のつながりを考えるものが散見されるなか、踏み込んだ知識や時期判断を要するものも一定量みられ、難易は昨年の日本史Bよりやや難化」と分析。
大手予備校の河合塾によると、「試作問題の歴史総合は、ほぼ日本史の知識のみで対応できたが、本試験の歴史総合では日本史の知識だけでは対応できない問題が複数出題されており、試作問題に比べて難易度が高かった」と分析。
代々木ゼミナールでは、「昨年の「日本史B」に比べてやや難化した。新科目である歴史総合では日本史探究で学習しない世界史的な知識を問う問題の出題が多く、日本史探究でも判断に迷う問題が散見された。それに加えて、思考力・判断力を測る出題傾向は続いており、時間配分には苦労しただろう」と分析。
【校長ブログ】限界は 思うより もっと先~大学入学共通テストが始まります~
1月17日、1995年に発生した阪神・淡路大震災から30年です。建物の倒壊や火災が相次ぎ、避難生活の長期化で体調を崩すなどして亡くなる「災害関連死」も含めて6434人が亡くなりました。国内で史上初めてとなる「震度7」でした。阪神・淡路大震災では全国からボランティアが駆けつけました。地震発生から1年間でのべ約137万人のボランティアが活動し、食料や物資の配給をはじめ、避難所での炊き出しや仮設住宅での見守りなどの活動にあたりました。地震の起きた1995年は、災害ボランティアの重要性が広く認識され、「ボランティア元年」と言われています。
明日1月18日、19日は、大学入学共通テストです。今朝、出勤途中の電車の中刷り広告で、受験生を激励する予備校のメッセージを見ました。
「限界は 思うより もっと先」
まさに、そのとおりだと思います。
多くの川口高校生も受験します。校長として今までの頑張りに自信をもって取り組んでもらいたいと思っています。1月18日は地理歴史・公民、国語と外国語、19日は理科、数学、情報。今回の大学入学共通テストから新たな教科「情報」が加わり、7教科(国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語、情報)21科目に再編されます。
私は18日、19日は、関東高等学校ウエイトリフティング競技選抜大会で限界をこえようとする高校生を応援します。
頑張る川高生を応援しています。
【校長ブログ】大人は、その範を示せているか…~成人の日~
1月13日、成人の日です。新たに成人となった18歳は109万人だそうです。1月7日、読売新聞の読者投稿欄である気流U―25に県立川口高校の生徒2名の投稿が掲載されました。二人とも18歳であり成人。がんばるという決意を感じる文章です。来週1月18日、19日は大学入学共通テストであり、大学受験に向けてがんばっている姿が浮かびます。大人になると、つい出来ない理由を探したがりますが、大人がしっかりと頑張らないといけないと思いました。
今日1月13日の朝日新聞社説「若者の学び 大人も点検する機会に」では、昨年度末に公表された「国際成人力調査」の結果について分析しています。なぜ日本社会に閉塞感が漂っているのか…。「急速に社会が変わる中、大人になっても自ら学び続けることの大切さが増している。大人は、その範を示せているか。」と鋭い問題提起をしています。
私も18歳成人である生徒からも学んでいます。
◇本番で笑うために(田中健太郎)
私は幼少期から空手道を始め、現在も続けている。私が通う道場は稽古が終わる時間が遅く、土曜日、日曜日にも稽古があるため時々つらく思うこともある。しかしそれでも、私は稽古をやめない。それは、師範から言われた「本番で笑うために、練習で泣け」という言葉に感銘を受けたからだ。
この言葉を受けてから、私はどんなにつらい練習でも諦めず、今出せる全力で臨むようになった。そして段位の審査に合格できて、大会でもメダルを取れるようになった。今後の人生においても空手道はもちろん、受験や就職の場面でも、この言葉を胸に全力で頑張っていきたい。
◇目標達成へ自ら努力(花城 姫莉)
私は受験生だ。ただし自信を失っている真っ最中だ。似たような状況は、小学生の時もあった。バスケットボールを始めたが体力はなく、コーチにいつもどなられて、自信とやる気を失ってしまっていたのだ。
その時は、母が様子を見かねて悔しがり、私を自主練習に連れ出した。私は毎日の自主練習が嫌で、泣きながらやる日もあったが、おかげで体力がついて自信も取り戻した。そして、「やってよかった」と心から思った。
今の私は、当時とよく似ている。ただし今度は、「自分から状況を打開し、目標を達成するための努力をしていきたい」と頑張っている。
そして、受験が終わった時に、「頑張ってよかった」と胸を張れるよう勉強している。
【校長ブログ】富士も秩父も高く正し ~3学期始業式~
1月8日、県立川口高校では3学期始業式です。早朝の校内を巡回していたら、凛とした朝空に校歌の一節にもある♪富士も秩父も高く正し♪のとおり、壮大な富士山、秩父の峰々、特に武甲山がよく見えました。
校長として、校長講話は毎回何を伝えようか迷います。今回は、新年の賀詞交換とともに、生徒諸君一人ひとりに「行動することの大切さ」を伝えたいと思いました。米国の第35代大統領ジョン・F・ケネディ(1917-1963)が敬愛する日本の政治家としてあげた上杉鷹山(1751-1822)の言葉を紹介しました。
始業式の校長講話を紹介します。
新年にあたり、「賀詞の交換」をしたいと思います。
新年あけましておめでとうございます。(おめでとうございます。)
新年に会社同士で年頭の顔合わせを行う集まりを賀詞交換会といいます。新年の挨拶を一堂に会して行なわれるので、一度に多くの方々と顔負わせと名刺交換が出来る場となり、ビジネスチャンスも広がります。教科書には全く書いていませんし、先生も教えてくれませんが、「挨拶をされて怒る人はいませんが、されないで怒る人はたくさんいます」。今年は巳年。蛇は脱皮を繰り返しながら、変化し、成長していきます。皆さんも、一皮むけて、一回り成長する年にしてください。意識して大きな声で挨拶をするよい習慣を身に付けてください。
2025年がスタートしました。
米国の大統領はいつの時代でも注目される存在です。今年1月20日、米国では第47代大統領に78歳のドナルド・トランプ(1946-)が返り咲きます。
1961年、43歳で第35代米国大統領になったジョン・F・ケネディ(1917-1963)の就任の時、日本の新聞記者が「日本で最も尊敬する政治家は誰ですか」と質問し、ケネディは「上杉鷹山です」と話したそうです。日本人でさえ、上杉鷹山のことを知っている人が少なかった時代に、米大統領が尊敬していると言ったことで、非常に注目されました。大統領の長女であるキャロライン・ケネディ氏が駐日米国大使だった2013(平成25)年11月27日に東京都内で行った講演の中で、「父は18世紀の東北地方の大名で、優れた統治力と公益のために献身したことで名高い上杉鷹山を敬愛していた」と話しています。
上杉鷹山は、日本史探究の教科書135頁の欄外で紹介されていますが、皆さんもほとんど知らないと思います。上杉鷹山については、歴史小説で童門冬二『上杉鷹山』(学陽書房 1983年)、藤沢周平『漆の実のみのる国』(文藝春秋 1997年)などで取り上げられています。
令和7年の年頭にあたり、皆さんに上杉鷹山の名言を紹介します。
「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」
江戸時代中期に、現在の山形県にあった米沢藩の財政破綻を立て直した米沢藩第9代藩主・上杉鷹山(1751-1822)が、次期藩主や家臣に向けた家訓として残したものであると言われています。国語の古文の時間の訳としては、「やれば実現する、やらなければ実現しない、いかなることもそうだ、実現しないのは、その人がやらないからだ」であれば満点でしょう。AIで訳を求めたら、「 何かをやり始めれば、必ず成し遂げられる。 何もしなければ、何事も成し遂げることはできない。うまくいかないのは、他の誰でもなく、その人がやらなかったからだ。」と冷静な回答でした。
とは言え、人生そんなに上手くいくわけでもなく、為しても成らないことの方が多いのが現実です。しかし、歴史上の名言には、その背景があります。まずは為さねば何も起こらないので、行動を起こすだけでも価値があるはずです。そして、成せなかった時でも、成し遂げた時でも、粘り強く事に当たるように心がけることが大切です。
何事も「出来ない理由」を探すのではなく、できるための知恵を見出してほしい。生徒の皆さんが生きるこれからの時代は、激動の時代を迎えており、多くの困難に立ち向かう必要があります。
こんな時代こそ、今から200年前の上杉鷹山の「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」は私たちに勇気を与えてくれる言葉です。
川高生の皆さん
元気に挨拶していますか。
他人に優しくしていますか。
夢を諦めていませんか。
志 高く。
【校長ブログ】受験生のがんばりを応援しています~今年度最後の学校説明会を開催~
1月7日、新年早々ですが、県立川口高校では、今年度最後の学校説明会を視聴覚室で開催しました。受験生は、いよいよラストスパートの時期です。誰しも不安が生じるのは、「絶対合格したい」と思っているからであり、がんばっている証です。最後の最後まで取り組んでいってほしいと思います。
2月26日の高校入試まであと51日。埼玉県では今回から電子出願となり1月27日(月)正午から2月10日(月)正午までが出願入力期間となります。従前よりも志望校の絞り込みが早まっている感じがしています。
今年度の学校説明会は今回で終了となります。これまで学校にお越しいただいた多くの皆様に感謝申し上げます。
【校長ブログ】初春 日本書道美術院教育部展~令和7年始動~
1月4日、県立川口高校では、サッカー部、ラグビー部、男子バスケットボール部、女子バレーボール部、男子バドミントン部、女子バドミントン部、柔道部、吹奏楽部などが新年令和7年の部活動を始動しました。
第79回日本書道美術院教育部展において、3年生の 三上 芽留 さんの作品が、理事長賞を受賞しました。私は、さっそく東京都美術館(東京都台東区)で開幕した日本書道美術院教育部展に行ってきました。力作ぞろいの展覧会でしたが、かな部門の三上 芽留 さんの作品も写真のとおり素晴らしい作品でした。
日本書道美術院は、戦後混乱さなかの昭和20(1945)年12月に全国に散在していた書家を結集して、結成された書道の総合団体です。教育部展は、高校生・中学生・小学生・幼年を対象とした書道展で、昭和21(1946)年から毎年開催している伝統ある展覧会です。
三上 芽留 さんの益々の活躍を期待しています。
【校長ブログ】生徒一人ひとりのウェルビーイングを目指して
新年あけましておめでとうございます。
能登半島地震から1年が経ちました。被災地の一日も早い復興と、被災された皆様の生活が1日も早く平穏に復することをお祈り申し上げます。
令和7年が始まりました。埼玉県立川口高等学校は今年で創立85年目を迎えます。生徒一人ひとりがウェルビーイングを実現できるように教職員全員でサポートしてまいります。引き続き、皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。
ウェルビーイング(Well-being)は、well(よい)とbeing(状態)からなる言葉で、「身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること」を言い、1946年に世界保健機関(WHO)設立の際に考案された憲章の中で初めて言及されたものです。文部科学省の第4期教育振興基本計画(令和5年度~9年度)にも明記されています。
今から10年前の2014年、2030年代の日本は、厳しい挑戦の時代を迎えていると予想されていました。生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の減少、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等により、社会構造や雇用環境は大きく変化し、子供たちが就くことになる職業の在り方についても、様変わりすることになるだろうと見込まれていました。
しかし、2030年代の到来を待たずに、2020年代は新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行、ロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ紛争の激化など、協調・競争と分断・対立により混迷の度を増すグローバル情勢、気候変動に伴う自然災害の激甚化、生成AIなどデジタル技術の 発展といった大きな変化があいまって、社会や経済の先行きに対する不確実性がこれまでになく高まっています。
昨年12月25日、小・中・高校で学ぶ内容や授業数を定める学習指導要領の改訂に向けた検討が中央教育審議会に諮問されました。そこでは、芸術やスポーツを通じた豊かな心身の育成を含め、多様な個人が幸せや生きがいを感じると同時に、地域や社会全体でも幸せや豊かさを享受できるよう、教育を通じて、調和と協調を重視する日本社会に根差したウェルビーイングの向上を図ることが必要だと述べられています。
子どもたち一人ひとりがウェルビーイングを実現できるように、学校・家庭・地域が一体となって育むことが一層大切だと思っています。