校長日誌

2018年3月の記事一覧

第70回卒業証書授与式 校長式辞


式辞               

 木々の芽もふくらみ始め、春の訪れが感じられるよい季節となりました。

 今日のこの佳き日に PTA会長 谷田部 宜宏 様、同窓会会長 山岡 孝 様、後援会会長 阪上 正樹 様をはじめ、沢山のご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席を賜り、平成29年度第70回卒業証書授与式を挙行できますことを、大変喜ばしく思いますとともに、心より感謝申し上げます。

 ただいま卒業証書を授与いたしました364名の卒業生の皆さん、ご卒業誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。

 今、皆さんの胸の中には、楽しかったこと、嬉しかったこと、苦しかったこと、辛かったことなど、3年間の思い出が走馬燈のようによみがえっていることと思います。その全てが皆さん自身の将来への財産となるものと確信しています。今日の日を迎えることができたのは、皆さん自身の努力の賜ではありますが、保護者の方々をはじめ、熱心に指導してくれた先生方、あるいは友人たちの励ましがあったからでもあります。どうか感謝の気持ちを忘れないでください。

 私は一昨年4月に赴任し、皆さんとは2年間の川高での生活でしたが、2年生の長崎修学旅行では、民泊体験での順応性の高さに感心したのを思い出されます。また、さすが3年生と思わせる場面が沢山ありました。各部活動で1,2年生の模範となる大会での全力プレー、川高伝統の体育祭での堂々たる入場行進やエールに始まり、後輩を見事に導いたリーダーシップ、諏訪山祭で発散させたエネルギー、進路実現に向けて授業や補講、面接指導などで頑張る真剣な姿、どれも頼もしく誇らしいものでした。

 本日を以て皆さんの高校生活にピリオドが打たれます。あっという間の3年間だったと思いますが、友人や恩師、人との出会いがそれぞれにあったに違いありません。これからは、制服を脱ぎ、川口高校卒業生としてのそれぞれの生活が始まります。

 常々私は皆さんに「自分の可能性を追求せよ」と言ってきました。このことはこれからの皆さんにとっても大切な考え方になります。それぞれが違う世界でこの考えを持って、自分のストーリーを描いていってほしいと願っています。

 ここで、可能性を追求するとはどういうことか今一度考えてほしいと思います。それは自分をどのように変えていくかと言い換えてもいいでしょう。

「若い人の弱点は、今の自分で世界を考えたがること。自分が変われば、世界も変わることに気づいていない。」これは『バカの壁』の著者で有名な養老孟司さんの言葉です。さらにこうも言っています。「やることがないとか、面白くないとか言っていませんか?世の中が面白くないですか?でも世の中簡単には変わらないですよ。じゃあ、どうすれば面白くなるのか。自分が変わることです。自分が変われば、世の中が面白くなる。変わっていくこと、それが学ぶということ。知ることです。自分が変わっていなかったら、何も学んでいないと思えばいい。」まさに、これが可能性を追求するということを表しているのではないでしょうか。皆さんがこの3年間で自分をどれだけ変えられたのか、振返ってみてほしいと思います。

 自分を変えようと何事にもチャレンジするからこそ、そこに発見があり、そうした発見を繰り返す中で学びが深まり、可能性がどんどん広がっていくのだと思います。

 さて、発見を繰り返しながら可能性を追求する皆さんの人生のストーリーは、これからどのように展開するのでしょうか。確かなことは物語の主人公は間違いなく皆さんであり、誰も皆さんの代役は果たせないということです。

そして、皆さんが社会で主役になるこれからの30年とはどんな時代となっていくのか。世界経済フォーラム会長クラウス・シュワブ氏による第4次産業革命という書には、インターネットが普及した情報社会からAI(人工知能)が中心となるAI・ロボット・ビッグデータと共存していく超スマート社会へと移行していくと予言しています。皆さんが当たり前のようにスマートフォンを持ち、いつでもどこでも情報を手にし、また、発信できるこの社会環境はさらに進化していくのです。それは、もうすぐそこに迫ってきています。自動で掃除してくれる掃除機をはじめ、自動運転技術開発が進んで自動車の完全自動運転の時代となってきています。AIが囲碁や将棋のトップ棋士を破るという状況も起きる中で、人が人としてどのようにあるべきか考える必要があります。そして、こういう社会情勢の中で自分が進むべき道を模索していける自分を作っていくことも大切です。

 そのための行動指針となる言葉を贈ります。それは「それでもなお」という言葉です。私がこの言葉に出会ったのは数年前、ケント・M・キースさんが書かれた『それでもなお、人を愛しなさい 人生の意味を見つけるための逆説の10か条』という本を読んだときです。強い感銘を受けたそのいくつかを紹介します。「人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。」「何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。それでもなお、良いことをしなさい。」「今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。それでもなお、良いことをしなさい。」「正直で素直なあり方は無防備にするだろう。それでもなお、正直で素直なあなたでいなさい。人は弱者をひいきにするが、勝者の後にしかついていかない。それでもなお、弱者のために戦いなさい。」どうですか?皆さんのこれまでの経験からも納得するところがあるのではないでしょうか。確かに現実の社会において、人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在です。弱者をひいきにするが、勝者の後にしかついていかない。これも現実です。しかし、ケント・M・キースという人は、「それでもなお」と、さらに一歩踏み出していくのです。私はこれこそ「自分を磨く」ための言葉だと思います。何も難しく考える必要はありません。朝、元気に「おはようございます!」と挨拶しても、ブスッとして挨拶を返さない人がいるでしょう?面白くないですね。それでもなお、次の朝になれば、元気に挨拶するのです。あるいは、懸命に取り組んだ勉強の結果が芳しくなかったとします。周りはあなたの努力を叱責するかも知れません。傷つきますね。それでもなお、次の勉強に懸命に取り組むのです。このように日常の生活の中で「それでもなお」を繰り返すことで、私たちは人間として成長することができます。だからこそ、心を込めて、皆さんにこの言葉を贈りたいのです。

 皆さん一人ひとりの境遇は誰しも違います。皆さん一人ひとりの貴重な経験がそれぞれの成長を生み、人格を形成し、そして皆さんにしか歩めない道をつくっていきます。他の人には歩めない、自分だけの道です。この道は広いときもあれば狭いときもある。上りもあれば下りもあるでしょう。皆さんには「それでもなお」を繰り返しながら、自らの可能性を信じ、自らが主人公のかけがえのない道を大切に歩んでくれることを期待しています。

 卒業生の保護者の皆様、お子様のご卒業を心より祝福申し上げます。3年間にわたり本校の教育活動にご理解とご協力を賜りましたことに厚く御礼申し上げます。これからも、チーム川高の一員、川高ファンとして川口高校へのご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 別れの時が近づいてまいりました。卒業生の皆さん、皆さんは歴史と伝統を誇る川口高校の栄えある卒業生となります。将来に向かって永々と続く本校の卒業生となることを誇りに、「高く正し」の校訓を胸に、これからの日々を一歩一歩踏みしめながら歩み続けてください。全ての卒業生の皆さんの将来が光り輝くものとなることを念願し、式辞といたします。

平成30年3月13日

埼玉県立川口高等学校長

松本 恭介





PTA会長 谷田部 宜宏 様


同窓会会長 山岡 孝 様